情報ゼロ円

著者が電通社員であった2002年の発行。現在は、独立すると共に大学で教鞭をふっている。先日、偶々、著者の講演を聴くことがあったので、この本を手に取った。

大学での講義を原稿としたものであるので説得力に欠ける部分もあるが、総体的には受け入れられる内容だ。

しかしながら、本書が発行された頃と現在とは状況は変わっていることは理解しながらも、インターネットについてあまりにも触れなさすぎると思う。なぜなら、検索エンジンから目的を持ってサイトへ訪れるインターネットの閲覧の形態は、まさにターゲットメディアであるからだ。したがって、ターゲットメディアとして様々な媒体を様々な角度から比較するに当たって、インターネットをその対象に組み込まないのは如何なものか。雑誌をもの凄く過大評価している。

情報ゼロ円。―雑誌はブランディングメディアである。 (編集会議BOOKS)

情報ゼロ円。―雑誌はブランディングメディアである。 (編集会議BOOKS)

講演でも、学生に対して「君らは、インターネットみたいなくだらないものに近づくな」と言っていると言っていた。2007年になっても、著者の考えは変わらないらしい。

先日の講演も本書も実に面白いのに何かが抜け落ちていると感じているのはヲレだけか。ついでに言えば、この本の装丁というか書籍デザインは酷いなあ。紙質も厚すぎて品がない。電通、大丈夫か?自分の本にはこだわりを持たないのかな。