ベストセラーの方程式
そのままにしておけば埋没しそうな1990年発行の黄ばんだ本。ブックオフ105円で見つけた掘り出し物(とヲレは思っている)。
著者の井狩春男は、書籍取次の鈴木書店の社員で手書き新聞『日刊まるすニュース』を出し続けた人。
そのまた昔1985年、人生の一つの岐路に立ったヲレは、本に関わる仕事もしたいなあ、なんてグズグズ考えながら、ちくまぶっくす『返品のない月曜日』(写真)を読んだ。この本は有名なので改めて説明はしない。が、いまだにヲレの書棚から未練を醸し出しているだけに、ヲレにとっては結構深い意味を持つ本だ。
もとい。
『ベストセラーの方程式』は、『返品のない月曜日』から5年後に出版されている。時代はちょっと違うが、季刊であった頃の『本の雑誌』に通じる本好きには堪らないオーラを放っている。インターネットもない頃、出版業界は、まだ活気があった雰囲気がこの本からも漂う。読んでいると、20年前にタイムスリップだ。
今は、高速通信基盤が整備され誰でもどこでもインターネットに接続が可能となり、情報はネットから取得する時代になった。POSシステムも成熟期を迎え、本もAmazonなどインターネット書店で購入するようになった。取次である鈴木書店も破産した。30年間続いた『日刊まるすニュース』も終わってしまった。時代が変わったと言わざるを得ない。
- 作者: 井狩春男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/03
- メディア: 文庫
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だからこそ、たまたまブックオフで拾ったこの本は貴重であると思う。いや本当は、もうこんな本は出てこないだろうという絶望的な雰囲気の中で、この本を見つけたことが、宝物を見つけたように嬉しかっただけだが。
リサイクル書店も良いではないか。