卒業式でのPTA会長挨拶、たぶん伝わらない

長男が中学を卒業した。高校も決まった。早いものだな、子供の成長。なんとも不思議だ。

今日、中学校PTA会長として卒業式で挨拶をした。来賓挨拶なんて聴く奴はいないなんていうのは実体験で感じていることだし、そこでの言葉が後々まで影響するものではないだろうということも想像できる。

けれども、この1週間の悲惨な出来事を見続けていると、子供たちにこれからの生き方をマジ感じてもらいたいという気持ちだけはどんどん高まってくる。当たり前に聞かれる「おめでとう、君たちには輝かしい未来が待っている、幸あれ」的な話はとてもできる心境ではない。今、困難を乗り越える力や過去に拘らない前向きな思考を伝えなければどうするのだと。

でもね、ヲレのカスカスな脳みそでは、それ、文章にできないのだよね。文章にできないというよりも、伝わる、伝える自信がない。何度も何度も書き直し、結局、前日の夜、悩んだ末に仕上げたもので話をした。言葉(文章)で伝えることの難しさと限界をあらためて感じた。そこで、自分の無力を記録するために、ここに全文を記する。実際には、この文に多少のその場で思いついた言葉を加えた。

卒業生の皆さん、保護者の皆様、ご卒業、誠におめでとうございます。

今日、こうして、子供たちが無事、中学3年間の学業を修め、この×××中学校で卒業を迎えることができたのも、日々、熱心にご指導をしていただきました、校長先生を始め、教職員の皆様、日頃から生徒たちを温かく見守ってくださっている地域の皆様のおかげだと、心より感謝しております。保護者を代表しまして、お礼申し上げます。

さて、卒業生の皆さん、君たちは今日で義務教育が終わり、これからは自らの意志で新たな道を築いていくことになります。

今日までの中学校生活では、楽しいことも苦労したこともあったでしょう。それは良き思い出として大切にして戴きたいと思います。しかしながら、「過去は、視線の前方にあり、未来は頭の後方にある」という言葉があります。これは、「近い過去ほどよく見え、遠い過去ほど幽かに見え、そして、未来のことは頭の後方にあって何も見えない」ということです。
例えれば、今、東北・関東地方で起こっている未曾有の災害は、大変辛く悲しいものですが、ここで目の前に見えるものはもう既に過去の事であり、その事だけに囚われることなく、これからは先の見えない未来に向かって、希望を持って突き進んでいくことが大切だということです。

皆さんは、必ずや、いつかどこかで困ることがあるでしょう。でも、人は困らなければ知恵が出ません。知恵こそが人を育て、強い力を生み出します。また、悩むこともあるかもしれません。でも、悩むことは物事が進んでいる証拠です。今、困難でも、それは決して無駄なことではありません。

皆さんのこれからの人生は、このような困難を乗り越え、自らの努力の上で築きあげていくものです。今日のこの日が、皆様の新たな第一歩となり、小さな成功体験をいくつも築きながら、一歩一歩前進し、そして輝かしい幸せをつかんでいただければと思います。

そして保護者の皆様、記憶にあるあの小さな子供たちは、いつの間にか体も心も成長し、もうすでに私たちを超えようとしています。そして、新たな環境のもとで、今、力強く羽ばたいていこうとしています。でも、子供たちとの関係は、いつまでも変わりません。ぜひ、今までと同じように、やさしく暖かく見守っていただき、子供たちが、大きな夢をつかめるようお力添えをお願いしたいと思います。

最期に、卒業生の皆様、保護者の皆様の益々のご活躍とご健康を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。今日は、おめでとうございます。

伝わらない・・・。