フリーター、家を買う。

売れっ子作家になった有川浩の小説『フリーター、家を買う。』だ。新刊書店で購入したが、この書名が秀逸。思わず手に取るし、気軽に読むことができそうな雰囲気がある。

しかも、書名から内容がしっかり想像できる。まっ、その通りの内容で、フリーターが自分のふがいなさに気がつき、バイトをし、就職をし、家を買うという青春ストーリ。至って普通の物語だ。

導入部からの主人公のダメダメぶりには、うんざりするけれども、実は自分にもそういうところが多分にあったり、崩壊寸前の家庭の状況も、意外に身近にあり得る想定で、ぞっとしたりもする。そういった意味で、柱の陰から覗いているようなリアル感あり。

結論としては、ハッピーエンドだし、主人公の復活と成長はあまりにもご都合良すぎと感じるが、おかげで読後感は大変よろしい。落ち込みがちな人にも勧めることができる。