正しいワークシェアリング、トヨタ部長級2200人

これは凄い。

新車販売の低迷を受け、トヨタ自動車の部長級約2200人が自社の新車を2009年3月末までに購入する取り組みを始めた。

まず、2200人も部長級がいることが凄い。トヨタの部長級であれば、1千数千万の年収だろう。役員となれば、月給130万円・賞与1000万円の世界だ。ヴィッツあたりなら毎月買っても日常生活は充分贅沢ができるだろう。

たぶん、いや絶対、高給取りの部長級以上の人たちが「派遣社員を切ろう」と決めていることは間違いないわけで、時給1200円の内3割を派遣会社に搾取され時給800円程度の手取りである派遣社員の賃金などは、弁当箱の隅っこにひっついている米粒みたいなもの。膨大な内部留保を抱え込んでいる世界のトヨタにとって、流行病のように行ったあの派遣切りってどうだったんだろうと素直に思うよ。

キャノンの御手洗会長がワークシェアリングについて言及をしていたが、MBAのモデルケースになっている正しいワークシェアリングとは、「労使が協調して一人で働くよりも数人の方が生産性を上げる工夫を土台にしたもの」だという。

大手企業の労働分配率は、配当金や役員報酬、管理職給与ばかりが増加し、末端社員の給与はほとんど増えない状況で、一向に生活は楽にならない。分配率が低すぎるのだ。そんな中で、単純に一人の仕事を二人でやれば、賃金は当然下がりそのシステムは破綻するに決まっている。

だから、例えばトヨタで言えば2200人もいる部長級の給与を2割下げ(でも生活には影響ない収入だ)、それを一般労働者に分配し、仕事を分け与えて雇用を確保するのが正しいワークシェアリングであって、日本経団連会長である御手洗会長がどこまで末端社員のことを考えてワークシェアリング発言をしたのかは興味があるところだ。

まあ、現実的に、トヨタは世界中に6ヶ月分の在庫を抱えているとのこと。この在庫を掃かすためには余裕のある部長級にこれらを買ってもらって少しでも息を付きたいという気持ちはわからないわけでもないが。

大変な世の中になったものだ。