妻と最後の十日間

これは辛い現実。2年前に意識不明で入院し一月間、一言も喋ることなく亡くした親父のことを思い出したり、もし妻が、自分がと置き換えたりして読む。

著者はフォトジャーナリストなので、事象の切り取り方や現状判断が冷静なだけに、その文章はリアルに感じる。自分の動揺や慟哭、小学6年生の一人娘の苦悩までが、どこか第三者的にみていると感じてしまう。著者は、そんなところまでも悩んでいる。各章の最初に書かれている世界の悲劇と自分が対面している避けられない現実との比較は凄まじい。

妻と最期の十日間 (集英社新書)

妻と最期の十日間 (集英社新書)

こんな本を読んでどうするのだと自分に問うが、いずれこんな事実と直面することになるのだろうから、その時の自分を仮に見てみたかったかもしれない。いざという時のショックを和らげるためにか。いずれにしろ辛い。