対話篇

ヲレは、人との関係づくりが苦手。その理由は、世間知らずであること、もう一つは人の名前と顔を覚えることができないからだ。私がおつきあいをさせてもらっている方は、かなり濃い関係を持った人だけで、それもすぐに記憶から消えていってしまう。だから、人との関係が深くならない。十分、ニート・ひきこもりの資格ありってところ。

対話篇 (新潮文庫)

対話篇 (新潮文庫)

前置きが長い。

なにを言いたいのかというと、そういう理由で、芸能人とか、政治家とか、お天気姉さんとか、ほぼ毎日出かけるスーパーのレジのおばさんの顔が覚えられないということ。とどのつまり、ヲレはこの『対話篇』の著者は、某俳優(金城武のことね)だと思っていた。美女は好きだけど背の高い美男は天敵だから、そんなチャラチャラした奴の小説なんか読めねーとずっと避けてきた(同じ理由で、水島ヒロの小説もじぇーたい読まないだろう)。でも違うのだよね、最近、金城武金城一紀は別人だと気がついた。馬鹿だねえ。

それで変なタイトルだなと思いながら読んでみたのだが、なるほど2人の対話からなる短編集だから『対話篇』。3篇の小説、どれも秀逸だった。特に「花」には参った。誠に地味だがとってもいい話ではないか、不覚にも涙を流してしまったよ。

どれも独立した短編として読めるのだが、少しずつクロスするところがあり、その気付きも読者を楽しませる要素の一つになっている。短い小説であるが、伏線も含め様々な仕掛けがされているので飽きることはない。

人違い、気がついて良かった。早速、金城一紀著『映画篇』を注文した。「本読みは宝探し」なんで、これでと満足することも尽きることはない。