役にたたない日々
佐野洋子著『役にたたない日々』どうきっかけでこの本を注文したのか記憶にない。
- 作者: 佐野洋子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/05/07
- メディア: 単行本
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Amazonプライムを利用して購入して届いた箱が未開封で8つほど溜まったので、日付の一番古い箱を開けてみたらこの本が出てきた。
佐野洋子って、谷川俊太郎と夫婦であったということくらいしか知識はない。過去に読んだことがあっただろうかと本棚を10分ほど探すと、1冊発見。『嘘ばっか』という単行本で、昭和61年10月1日読了というメモが挟まっていた。25年前じゃん。
『役にたたない日々』を読んでみて後悔をしているわけではない。意外に面白かったのだよ。いや、とってもだ。
怒りの矛先がいい。その感情を素直に表現できるのがうらやましい。文章に、行間にその怒りがにじみ出ている。あるいは、世の中を憂うやるせなさがあふれてくる。それにも共感を覚える。ヲレも四捨五入すると50歳、佐野洋子の老いの自覚が理解できるようになったからか。悲愴さがないのも良い。
ぼけた話がいいではないか。
冷蔵庫に洗ったコーヒーカップが二つ並んでいたことがあった。しばらくして、やっぱり冷蔵庫に洗ったすり鉢とすりこぎが置いてあったこともあった。
なんかありそうで怖い。
そういうことあるよ、大丈夫だよ、わたし、家の中で包丁なくして、まだ出てこないよ。
説得力ある慰めようだなあ。ボケの話は、親近感が沸く。ヲレの記憶力も10分程度なので、何でもロディアにメモする習慣が付いたくらいだから。
とにかく、高齢化問題を考えるに、この本の内容はリアルだし良い材料。佐野洋子は、余命2年と医者に宣告された癌に冒されていることも書いている。宣告されたその足でジャガー(車)を買い、頭を坊主にした。その潔さに感動する。すでに1年を経過している。こんな素晴らしい書き手を失いたくないと素直に思う。