テロならできるぜ 銭湯は怖いよの 子供たち

『天皇ごっこ』の著者、見沢知廉の作品。

著者の刑務所収監時代の経験を描いているが、著者曰く、あくまでも小説であるという。だから「作品」。純文学。『天皇ごっこ』にも通じる流れような文体は独特のものであり、そこから湧き出る感情は激しい。

作品の中でも、雑文ならいくらでも書けるが小説にはずいぶんと苦しんでいる様子が描かれている。映画で有名になった野坂昭如著『火垂るの墓』は直木賞作品であるが、その昔、ストーリは別として野坂の粘っこい文体に驚いたものである。見沢知廉の文体は、『火垂るの墓』を彷彿させる魅力にあふれている。