ホームレス中学生

昨年読んだ本であるが、現在では200万部も売れている。本当にミリオンセラーだよ。どうして?

ホームレス中学生

ホームレス中学生

内容は、普段から田村がテレビで自虐ネタとして話をしているものばかりで、目新しいものはなく、何の新鮮さもない。買っている人は、バラエティ番組を見るような感覚で買っているのだろうな。買わせる方は、そういうシナリオを書いているわけ。文章は、稚拙な部分とそうでない巧みな表現が入り交じり、統一感がない。おそらくゴーストライターなんだろうな。意図的な感じがする。

確かに、著者は、これに近い体験はしただろうし、それは決して幸せではなく苦労の連続で、当たり前に生活している自分や子供たちと比較して同情はする。けれども、例えば遠藤実著『涙の川を渉るとき』なんかと比べると、単なる不幸(貧乏)をネタにしている田村と、その苦労から得たものとか人格形成を語っている遠藤実とは格段の差がある。例えば、現実に貧乏で苦しみ不幸のどん底にいる人から見れば、田村の貧乏ネタは不愉快に感じるのではないだろうか。冗談じゃないよ!って。少なくともこの本からは、希望は見いだせない。

その上で、多くの人たちが田村を絶賛しているということを思うと、限りなく憂いを感じる。他人の不幸を喜び、かわいそうだねと乾いた涙を流し満足する。そんな君たち、いつまでも幸せでいるとは限らないからねと言っておきたい。