2012年6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2957ページ
ナイス数:402ナイス

東日本大震災関係が4冊、伊勢神宮関係が2冊というのが今月の特徴か。震災関係は、動もすればその記憶が途切れそうになる。そんな自分への戒めのため、ずっと読み続けたい。それから今月は、20年ぶりくらいに筒井康隆を読んだ。もちろん新作ではない。古い小説であるが、とても新鮮な気持ちで読むことができた。筒井康隆、やっぱり凄い。


6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録  角川SSC新書 (角川SSC新書 130)6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録 角川SSC新書 (角川SSC新書 130)
東日本大震災関係の本は勉強のためにそれなりに読んでいるが、これは良い。被災者としての視点であるので非常に勉強になる。石巻市役所内の様子も書かれており、この情報は貴重だ。国・県は別として、被災者でもある末端の役所が罵倒されるがごときに書かれることが多い中で、どういう状況であったのかがそれなりに判る記述だ。4月2日3日と被災地に出向いたが、被災者が支援物資搬送車両と表示された私たちの車に向かってお辞儀をする姿を思い出す。この本を読んでみると被災者の状況がリアルにわかり、あらためて涙が出そうになる。
読了日:06月30日 著者:
旅のラゴス (新潮文庫)旅のラゴス (新潮文庫)
20年ぶりくらいに筒井康隆を読んだ。きっちりと考え尽くされたプロットと淡々と語り思うラゴスの絶妙な作り込み、素晴らしい。らしくなくドタバタでもない内容にちょっと驚き。知の泉に溺れるラゴス、世の中のすべてを知りたいという旺盛な知識欲、それを満たすために旅を続けるラゴス、著者の分身というかこうありたいという姿なんだろ。じつに面白い。いいな。
読了日:06月28日 著者:筒井 康隆
美しい村に放射能が降った 〜飯舘村長・決断と覚悟の120日〜 (ワニブックスPLUS新書)美しい村に放射能が降った 〜飯舘村長・決断と覚悟の120日〜 (ワニブックスPLUS新書)
シリーズの陸前高田市長のものとは本作りのスタンスが違う。飯舘村長としての責任とか、過去からこれからまでのこと、覚悟が感じられる。批判されても実を取るといった正直な記載もあり、政治家だなと思う。そもそも理不尽な状況であり、これを正論とすることは不可能。そのような中での決断、その苦悩は計り知れない。2011年11月に飯舘村を訪れた。役場の前であった女性から「事実をしっかり見ていってください。その上で、しっかりと判断して下さい」と言われた。浜岡原発から風下16kmの所に住んでいる。しっかりと考えたい。
読了日:06月24日 著者:菅野 典雄
カシオペアの丘で 下 (講談社文庫)カシオペアの丘で 下 (講談社文庫)
ぬいぐるみの使い方が絶妙、巧い!文庫本になるまで、これでもかこれでもかと事象を絡めていく作業をしたらしく、見事にその時に向かっていく。やり過ぎの感もあるが、仕方が無い。ヲレ的には「その日のまえに」の方ががつんときたが、まあこれも号泣であったので悪くない。家庭を持った人なら、感情移入せざるを得ない。特に子供のこと、辛い。ヲレもここ数年、死というものを考える。重松清と同じ年齢なので、同じ時代を生きてきた。この年齢になるまで考えること、感情も近いのかもしれない。現実になるかも知れないと重いながら読んでいると、自
読了日:06月24日 著者:重松 清
カシオペアの丘で 上 (講談社文庫)カシオペアの丘で 上 (講談社文庫)
これはたまらない。ゆるすという重さを追求しつつ、家族や生と死を突き詰める。これでもかこれでもかと畳みかけるような展開にページをめくる手は止まらない。寝る時間がなくなると同時に、テーマの重さが頭の中を巡り眠れなくなる究極の睡眠不足本だ。
読了日:06月24日 著者:重松 清
PKPK
判ったような判らないような感じのストーリ、なんとなく気持ちが悪い。もう一度、読み直してみようかな。構想として、もともと別のストーリであるので、それぞれ関連を臭わせているが、3編を一つのものとして読むことが間違っているのではないか。小洒落た素敵な会話が、やっぱりステキ。久しぶりの伊坂幸太郎小説は、まあまあ充分楽しめた。
読了日:06月16日 著者:伊坂 幸太郎
被災地の本当の話をしよう 〜陸前高田市長が綴るあの日とこれから〜 (ワニブックスPLUS新書)被災地の本当の話をしよう 〜陸前高田市長が綴るあの日とこれから〜 (ワニブックスPLUS新書)
えっ、この市長、ヲレより若いのか。あまり詳細な記録では無い。感想文的な記述であるが、訴えていることはもっともだし、悲しい。日本の将来を憂う。国・県、それぞれの立場があるが、それではいかんだろ。普段から感じていることなので、実に共感できる。最後の佐藤議員との対談は、いらない。佐藤議員のヨイショには興ざめ。今の国会の体たらくを見ていると、この対談の言葉も飾り物に感じる。陸前高田には、なるべく早いうちに復興を願って訪れてみたい。力になれることがあるだろうか。
読了日:06月16日 著者:戸羽 太
石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命
医師という命を救う立場の人たちの頑張りには敬意を表する。しかし、安易に行政を批判する部分があるが、市町の役所の職員は医師とは違う立場の中で努力をしたし、被災者でもあったし、立ち位置が違う中で頑張ってくれたと思う。批判をするのは簡単だが、医者も含めて自分たちだけのことを考えて行動しているのではない。この書籍は、医者が書いた本では無い。フリージャーナリストの石丸氏が書いたものなので、残念ながら非常に内容が淡泊だ。おそらく行政批判も石丸氏の立ち位置。残念なことだ。ある意味、被災地に背を向けているのでは。
読了日:06月13日 著者:
伊勢神宮の謎を解く アマテラスと天皇の「発明」 (ちくま新書)伊勢神宮の謎を解く アマテラスと天皇の「発明」 (ちくま新書)
単なるマニアかと思わせるような文章であるが、中身は濃い。じわりじわりと伊勢神宮の核心に到達する。諄い、しつこい感は多々あるが、それは味とも言うべきか。反論も肯定もできるだけの知識が無いが、そうであろうと思わせる。宗教、文化、政治が混沌として成立した伊勢神宮は、実に興味深い。また、行ってみたいぞ。
読了日:06月12日 著者:武澤 秀一
サツキとメイの家のつくり方サツキとメイの家のつくり方
かなり本格的なのだが、取材が中途半端で内容が薄くて勿体ない。もっと写真やデータを加えれば、随分と面白くなるのに。ペーパークラフトサツキとメイの家』の参考資料として読了。制作過程は、こちら→ http://d.hatena.ne.jp/tipitu/
読了日:06月10日 著者:
伊勢神宮ひとり歩き―神の森のヴィジュアルガイドブック伊勢神宮ひとり歩き―神の森のヴィジュアルガイドブック
これは伊勢神宮ガイドブックとして、秀逸。少し前に訪れたばかりだが、この本を先に読んでおくべきだった。かなり損なことをしている。来年は式年遷宮なので、この機会にもう一度、この本を持って行ってみようか。
読了日:06月06日 著者:中野 晴生
幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)
複雑だけれどもあり得ない話では無いが、伊坂幸太郎『オー・ファーザー』の4人も父親より複雑っぽい。現実的で深刻な話だ。それでも結局は人としての良心というか感情の良化が勝るのか。若干の希望や期待を残してくれたので有り難い。家族って難しいよね。他人であって他人では無い、個と集のすれ違い、そして助け合い。我が家も、幸せだけれども、なんだか大変だもの。
読了日:06月06日 著者:重松 清

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