漂流者 折原一著

漂流モノは面白い。本当にそれに遭遇した人もいるので不謹慎だが、小説としては何度読んでも面白いことは事実だ。
この小説は、漂流を題材に推理小説に仕立てている。しかも叙述トリックという手法を使っているのも私の好み。手紙とか日記とか手記とか回想とか、そういったものが折り重なって段々と事実が判明してくる構成である。書き下ろしとのことなのだが、とても新聞小説などでは書けないだろうと思うほど複雑に絡み合っている。
では、どの程度面白かったかというと、まあまあって程度。なぜなら面白いけど下手なのね、表現とかそういう文章が。緻密さというか緊張感というか。じゃあ、おまえは書けるのか言われても書くことが出来ないけど。恐らく多筆・速筆なんだろうね、この作家。そんな感じ。暇があったら読んで下さい。お薦め度:65/100
漂流者 (書き下ろし新本格ミステリー)