初冬の一番風呂、それは世代交代を感じた時

一番風呂は、何年ぶりかな。おそらく長男が生まれた頃、風呂に入れるために一緒に入った頃から一番風呂に入ったような記憶がない。単に忘れているだけだろうが、一番風呂が久しぶりなのは事実。

風呂洗いと湯張りは、子供たちの日課にしている。奇数日は中3の長男、偶数日は中1の長女。今日は29日だから長男が9時前に湯を張ってくれた。長男は、「お父さん、お風呂入れたよ」とオレの部屋に声を掛けて、再び勉強机に向かった。最近、やっと勉強に身が入るようになってきた。この湯張りのパターンはいつものことだが、じゃあ、今日は最初に入ってみようかなと思った。理由はない。入ってみようかなと思いついただけ。

長女も珍しく勉強をしている。「先に風呂に入るよ」と声を掛けたが、目でうなずいただけ。長男に同じように声を掛けると「体調悪いの」と心配してくれた。「そうじゃないよ、なんとなく」と答えておいた。長男は、いつも優しい。

最初に入る風呂場は、全体が乾いていてとても寒々としていた。素っ裸で「うー、さむっ」と湯船に浸かる。ゆったりと揺れる湯面が心を和ませる。温かい、いや、春の日だまりのような暖かいの方のイメージか。湯量がいつもの倍くらいあるような気がする。その分、体の芯まで湯の温かさが染み渡る。湯気の柔らかさが優しい。ああ、気持ちがいい。

贅沢な時間を過ごす。随分とのんびりと浸かりポカポカに温まってから、湯量が減っていないよう湯足しをして出る。のどが渇いたので、氷を浮かしたジンジャーエールを飲む。冷たくておいしい。とても幸せな気分だ。

部屋に戻ると、ヲレのいすの上で長女が iPod で音楽を聴いていた。「先に入ったよ」と言うと、「あっそう」とつれない返事。それでも「今日は勉強頑張ったな」と褒めると、嬉しそうに「うん」と頷く。かわいい。長男は、まだ勉強をしている。最近、父親の存在価値が一気に薄まったような気がする。夕食が終われば、もう用事なし。これからは、一番風呂に入るのが一つの仕事になるのかもしれない。

一昨日でオヤジが亡くなって2年が過ぎた。確実に世代交代は進んでいる。ヲレの人生の折り返しは、もうとっくに過ぎたのだ。そんなことを思い感じた初冬の一番風呂。