砂漠

腎結石の痛みの中で、唯一の癒しとして読んだ本。伊坂幸太郎は、『ゴールデンスランバー』に序で2冊目。この著者のことは漠然とした印象としてとっても地味に感じていたので、なかなか食指が動かなかったのは事実。ところがだ、この『砂漠』は、思いも掛けず素晴らしかった。感動を通り越して神の領域。ストーリだけではなく、こんな小説を書ける伊坂幸太郎にもだ。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

主要登場人物5人の性格の作り込みと関係が絶妙。東南西北鳥、それぞれ愛しく感じるよ。若者っていいなあ、こういう時を過ごすことができるのは誠にうらやましいとクソオヤジは嘆く。

ちなみに、私は南に萌える。まじめで控えめでなにげに超能力も使える。もちろん、「今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ」と当たり前に主張する西嶋もいい。

伊坂幸太郎著『砂漠』は、井上ひさし著『青葉繁れる』、村上龍『69』と並ぶ青春小説の傑作3強としよう、ヲレ的に。どれも借金しても読め!レベルだ。

も一つ。久しぶりに牌字を使った小説を読んだ。阿佐田哲也伊集院静、福地泡介、畑正憲などなど、懐かしいなあ牌字。最近では麻雀もなんだか廃れてしまった感があるのでちょっとホッとするよ、この若者たち。それにしてもだ、P330の説明では、一萬が当たり牌になる理由が理解できない。トイトイ三暗刻でしょ。どういう場合を想定しているのか。振り込んでの三暗刻なので、三萬をどう処理したのか、気になる気になる。三萬を捨てた後、二枚ツモりなおしたのか。

まっ、いいか、楽しかったから。許そう許そう、その代わり、伊坂幸太郎を制覇してみよう。