チーム・バチスタの栄光

東京出張の帰り、東京駅の売店で文庫上下2冊を購入。この小説は映画化され、2月9日から公開される。医療小説(ミステリ)なので映画化に当たり病院のシーンが多いのは当然なのだが、実は病院シーンの撮影がヲレがいつも通っている総合病院で撮られている。

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

ということで、海堂尊という作家の本は初めて読むわけだが、現役の勤務医だけあって医療シーンは迫力あり。当然、治療の現場や象牙の塔の世界も詳しいしリアル。

残念ながら、デビュー作ということもでもあるが、全体的には荒削り。最初は、気負った例えや比喩が五月蠅く、読みにくく感じる。

ところが、後半、厚生労働省の役人・白鳥が出たときから、一気に盛り上がり最後までノンストップ。そのキャラクタの作り込みはすばらしく、とても新人とは思えない迫力だ。奥田英朗イン・ザ・プール』の主人公、精神科医の伊良部を強烈にしたような白鳥はとても魅力的。もっと読みたいと思わせるぞ。

作家と医者の二足わらじのパターンとしては、エロ親父と成り下がってしまった渡辺淳一も元は医者で、研修医を扱った『白夜』や『麻酔』という傑作小説がある。海堂尊については、渡辺淳一のようにエロ親父になってしわないよう、すそ野が広い医療分野に特化した小説を書き続けることを期待する。