患者さんゴメンナサイ

著者は、産婦人科医で漫画家。だから、いい加減な話でもないだろうと思っていたら、実はこの著者、『Dr.コトー診療所』の医学監修をした人だった。しかも、未だ勤務医であるところが、話の内容をリアルにしている。

過去には、山崎豊子著『白い巨塔』や今ではエロ親父となってしまった感がある渡辺淳一の初期の傑作『白夜』など、医者の世界、象牙の塔を描いた傑作があるが、いやこの本もなかなかよろしいのである。

タイトルからして怖いが、医学生から研修医の頃の話や医局制度の善悪など、今の医療制度の裏側を正直に語っている。引用してみる。

ある程度 修羅場を経験してきた医者なら 直接的であれ 間接的であれ 「ああ、あのヒトはぼくが殺したんだ・・・」というケースが必ず思い当たるハズです。

医療ミスとならないまでも医療の限界というものがあるのだなと感じる。そこにその場に自分が当たる可能性もある。それが現実であると理解しておかないと大変だ。

患者さんゴメンナサイ 医者ってどーなってるの!?日誌

患者さんゴメンナサイ 医者ってどーなってるの!?日誌

医局制度のマインドコントロールとして挙げられているものの最後に「共犯者の連帯感」がある。これは、たくさんの医師が働く医局では、チーム医療の名の下に、お互いの罪(秘密)を共有することもあるということだそうだ。

そのほかいろいろなこと書かれているが、全体を通してみると医者も人の子だということが判る。医者は神ではない。医療の絶対を信じることはできないが、現実を知った上で医療と付き合うことは必要であると思う。