神々の山嶺

夢枕獏著。下巻の帯には「もう山の話は二度と書けないだろう。それだけのものを書いてしまったのである。どうだ、まいったか」と著者の言葉を入れてしまうほどの自信作。
確かに、新田次郎の新作を読めなくなった今となっては、山岳小説はめぼしいものが無く、ある意味では強烈なインパクトがある小説であった。どちらかといえば、クライマーの手記を読んでいる感じである。けれども、さすが夢枕獏である。ミステリーまではいかないけれども謎を掛け、しかも最後まで緊張感が保った内容である。面白い。
登攀シーンのリアルさはすばらしい。しかもそれが実際に体験することが出来ないエベレスト頂上直下であるだけに、この見てきたような書き込みは貴重だ。すばらしい。
こういった娯楽小説がどんどん書いてもらいたい。少しくらい想像が入ろうが史実と違おうがいいのだ。面白ければ、それで納得してしまう。教科書ではないのだから。
山岳小説は本当に面白い。お勧め度:100/100、満点だー。
神々の山嶺(上) (集英社文庫) 神々の山嶺(下) (集英社文庫)