阿佐田哲也、色川武大、人生修羅場ノォト

時々こういうサギまがいな作りの本がある。

ヲレの写真の撮り方も良くないが、一見、この本の著者は阿佐田哲也色川武大)かと思うじゃないですか。背を見ても、表紙を見てもそう勘違いしてしまいそう。

実は、帯のところに「春日春浩◎文 中村龍生◎写真」と表示されているが、実に小さく目立たない。帯をとったあとの表紙は、もっと怪しい。理由は、本当の著者の名前では売れないので、阿佐田哲也の名を借りようという魂胆。

昔からあるのよね、このパターンって。

おまけにこの本の文章も判りにくい。阿佐田哲也色川武大)の文章の引用なのか著者の文章なのか、あるいは阿佐田哲也のことを述べているのか著者のことを述べているのか、非常に曖昧だ。

阿佐田哲也・色川武大 人生修羅場ノオト

阿佐田哲也・色川武大 人生修羅場ノオト

内容は面白い。そりゃそうだ、阿佐田哲也の修羅場だから話になるわけで、著者の修羅場を読んでも面白くないだろ。所詮、こんな作りの本を出すのだからな。

1999年刊の本。阿佐田哲也が逝って10年後。今から18年前。おそらく生前にはこんな作りの本は出せなかっただろう。阿佐田哲也はこういうせこいのを一番嫌いそうだから。