小千谷から

新潟中越大地震(新潟県中越沖地震ではない)で震災にあった主婦の記録ということで、この主婦が震災6日目から始めたブログをまとめたもの。

基本的に軽い文章・ノリで悲壮感が漂らない雰囲気は楽しいのだが、その分、超リアルな被災ドキュメントと宣う帯のキャッチコピーとは裏腹だ。とは言え、やはり被災地で普通の主婦が家庭が体験したものであるので、その内容は生々しい。特に子供の精神的な不安定さは飾らないだけに怖い。

残念なことは、もっとも知りたい震災直後から1週間のの詳細な記載がなく、どんどん復興に向かっていく状況中心であること。もちろん大苦労はしているのだけれど。

ヲレが住んでいるところも東海地震で甚大な被害が出るだろうと思われているところ。だからこそ、著者も言っているとおり、被災者が本当に知りたい状況は情報を、震災が来る前に知りたいのだ。マスコミが流す情報は、大変な地震が来た、被害が出た、行政や国の対応の悪さみたいなものばかりで、困っている被災者の状況や必要な情報は流さないもの。

被災地では、それぞれの立場で被災をしている。よく槍玉に挙げられるのは、役所と国。被災者は待ってくれないと判っていても、できることとできないことがある。個々の主張は理解できるが、全体としてそれがどうかという判断も必要だ。この本の内容は、主婦の立場からの一方的なもの。色々な面から被災地全体のことを知ってみたい。そこからは多くのことが学べるのであろう。

最後に、この書籍で一番説得力あるのは、表紙の写真。ビニールハウスに大勢の人が集まり、土の上に布団を敷き、母親が幼児を抱え、ストーブ一つあるものだ。唯一の救いは、皆笑っているところ。悲惨さと頑張ろうという気力が窺える。

時間があれば、本を読むよりも元ブログを読むと良い。こっちの方が生々しいし、詳細だ。今でも、最初から読むことができる。