猛スピードで母は

芥川賞の俎上に載ってくるような小説は、金原ひとみ著『蛇にピアス』や綿矢りさ著『蹴りたい背中』あたりが出てくるまではかなり読んでいたのだが、それ以後まったく食指動かず。

そんな中でどういうわけかこの『猛スピードで母は』については気になっていて、今回たまたまブックオフ単Cで見つけてやっと手に取ったというわけ。2編収められているが、どちらも同じような雰囲気。あまり幸せでもなく極端に不幸でもない家庭が描かれている。文章も読みやすく、設定も難解ではない。無駄のない描写は、洗練されていると感じる。そりゃ、芥川賞受賞作だからね。