プライバシー権について
昨日は疲れてしまってお休み。
そんなことをしている内に、名古屋地裁でまったく逆の判決の報道。今回、ここで触れている住民基本台帳ネットワーク訴訟は、金沢地裁の判決に付いてであるのでお間違いなく。
- 5月31日(http://d.hatena.ne.jp/tipitu/20050531)の続き。
プライバシー権(2)
金沢地裁は、判決文で次のように述べている。
住民基本台帳ネットワークで取り扱う住所や氏名などの本人情報は、プライバシーにかかる情報として自己情報コントロール権の対象となり、住基ネットはプライバシーにかかる自己情報コントロール権を侵害している。
憲法第13条で保護する権利と認め、一般に秘匿性が低いと思われる住所・氏名・性別・生年月日についても自己情報コントロール権の対象と認めた。かなり踏み込んだ内容だと思う。
しかしながら、いわゆる個人情報保護というのは、すべてそれを最優先すべきというものではない。まったく個人情報を取り扱わなければ、社会が成り立たない。郵便物も届かない、名前も呼べない、人の顔も見てはいけない・・・そんな社会はあり得ない。
金沢地裁も判決文の中でこれらについて述べている。
自己情報コントロール権も無制限に保護されるわけではなく、公共の福祉のために必要な場合には相当の制限を受けることはやむを得ない。
裁判所はこう認めながらも違法と判断した。つまり、住民基本台帳ネットワークを運用することによる公共の福祉とプライバシー保護を天秤に掛けたら、プライバシー保護の方が重いと認めたのだ。そこで、住民基本台帳ネットワークによってプライバシーがどの程度侵害されたか検証しなければ、この判決の趣旨が明確になってこない事となる。
【疲れたので、次回に続く】
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