書店における万引き

全国の書店を対象として経済産業省が書籍等の万引きの実態調査が行われている。その集計によると、書店1店舗当たり年間被害額が平均210万円だそうだ。ものすごい金額。薄利多売の書店業であるので、この数字は大きい。
ヲレも本が好きで、中学校から今まで読んだ本は、99.9%購入している(借りて読んだ物は読後買ったりもしている)のだが、万引きして読む本で感動することがあるのだろうか。ヲレは、本の対価を払ってこそ、面白い、つまらない、感動した、無駄などと言えるのであって、万引きした本では、何を言ってもそれは虚言でしかない。


しかしながら、書籍は別として、盗むという行為に対して罪悪感が無くなっている人間も多い。というよりも、自分が盗んでいると思っていない人が多いと言うべきか。


例えば、知的財産。著作権の問題である。ビデオレンタル店での若い夫婦の会話。DVDディスクの棚の前で、「このアニメ、コピーしたっけ?この映画、娘が好きだからとっておいて」である。この会話の「とっておいて」は、まさに「盗っておいて」だ。GEOは100円レンタルなんだから借りればいいじゃんと言いたい。
その他にも、今の季節で言えば「タケノコ」なのだが、山に入ってタケノコや山菜、山芋などを勝手に掘ったり盗ったりする連中。タケノコや山芋は、そのものを盗まれるということで迷惑であるが、それ以外でも、掘った後を埋めておかないことが怪我の原因になったり、土砂崩れなど山が荒れる原因にもなる。山はすべて公共のものと勝手に決めつけている輩がいる。山菜なども、それを持ち帰ることが泥棒だと思っていない。庭に植えてある花を勝手に抜いて持ち帰るのと同じだ。


もう一つは、山野草。よく山野草愛好会などがあるが、あの団体を見ると泥棒の団体と感じてしまう。特に高山植物を勝手に持ち帰る人たち、やめなさい。登山道を外れて高山植物を持ち帰ることは、靴底に付いた平地(低地)の種子を高山植物が群生しているところに持ち込む可能性があるということだ。そうすると生態系が崩れ、場合によっては高山植物の絶滅にもなりかねない。
また、持ち帰るという行為をとっても、高山であるから、またその地に育つ条件がたまたま合致したから高山植物が育ったのであって、それを里など低地に持ち出しても育たない可能性がある。そうなると、単なる草刈りになってしまう恐れもある。


考え直してもらいたい。盗むという行為は、万引きのような意図的なものばかりでなく、当然と思っている行為の中にも存在し得るということを。