一江ウタカ・ミニコンサート

機会あって、何度かお会いした一江ウタカさんのミニコンサートに出かけてきた。約1時間、観客50人の小さなライブだが、実にまったりとしんみりとした時間を過ごすことができた。殺伐な毎日からほんの一瞬違う世界に飛び出したようだ。

NHKドラマに2009年12月に放映された『遙かな絆』(全6話)という中国残留孤児の父と子の物語。今年の9月にも再放送がされている。原作は、大宅壮一ノンフィクション賞講談社ノンフィクション賞などを受賞した『あの戦争から遠く離れて』。このドラマに一江ウタカさんの曲が挿入歌として使われている。

実は、この『あの戦争から遠く離れて』の著者城戸久枝は、ウタカさんの妹。つまり残留孤児の父を持つ姉妹。挿入歌として使われた中国民謡「植樹歌」も父親から教えてもらったものらしい。なるほど、一江ウタカさんの曲からは、大きく静かなうねり、大陸の雄大さ、自然からの恵みを感じる。ゆったりとした時間が小気味よい。アメリカンフルートや小鳥の声の笛、波の音など、民族楽器を駆使した音作りには繊細なこだわりを感じる。これは凄いぞ。

もう一度、聴いてみたい観てみたい。

以前にもエントリしたかもしれないが、満州からの引き上げ、中国残留孤児の悲劇がどうして起こったのか実体験のように感じることができる物語『光さす故郷へ』の主人公は、私が住む街の方だった。著者の朝比奈あすか氏(主人公の孫)とも何度か連絡をしたことがある。中国残留孤児の苦労を考えると、自分の置かれているこの状況は幸せとしか言いようがないだろう。

いろいろなことをきっかけに忘れられつつある戦争の悲劇に触れられることがある。そんな機会を逃さぬようにしていきたいと今回も感じたところだ。大切にしたい。

ちなみに『あの戦争から遠く離れて』はAmazonに発注済み。『光さす故郷へ』も再読してみようか。