サラの鍵、戦火の馬

ナチスのユダヤ人迫害を描く映画はどれもハッピーエンドはあり得ない。『ライフ・イズ・ビューティフル』『戦場のピアニスト』『シンドラーのリスト』など、どれも悲しく辛い映画だ。そして、この『サラの鍵』も同じ、しかも犠牲者は子供だ。

悲劇が悲劇を生む。それぞれの人生にはそれぞれの秘密があり、歴史がある。それらはほとんどが明かされることはないのだが、この映画では偶然にそれに触れ紐解いてしまう。そこからは、まさに悲劇の歴史が表れる。戦争を生き抜き、平和な時代になっても、それらは人生にまといつき引き継がれていく。戦争という狂気が如何に哀れか描かれる。

舞台は、パリ。ホロコーストは、ドイツ・ポーランドのイメージが強いがフランスでも起こったこと。フランス国民がこれに荷担した歴史は、シラク大統領が後に謝罪をした。だから、この映画がフランスで作られたことは意味深い。映画の中で語られる言葉の中に、「浄罪の一つだと思っている」とあるが、まさにそのことであろうか。迫害の中にもフランス国民の苦悩も描かれている。収容所からの脱走を助け、食事を与え、お金を送り続ける人たちもいる。映画を作る中での、せめてもの救いを入れたかったのだろうか。

そう言えば、『戦火の馬』っていうのも観たっけ。そんなに凄いかっていう印象。ヲレ、ダメなんだよね、動物が出る映画、外国では馬に普段から触れあう機会もあるだろうが、競馬以外にはまったく関係ない生き物。だから思い入れが少ないのかもしれない。

スピルバーグ監督って、ほんとうに凄いのかなんだか判らないなあ。予定調和なストーリと映像には、感動しないぞ(戦場のど真ん中で針金に絡まった馬を助けるシーンは良かった。『JSA』みたいな)。そう言えば、『サラの鍵』でサラを助けたお爺さんが、『戦火の馬』でもなかなかいい役で出ているではないか。どこかで見たことがあるなあと思っていれば、連続して観た映画なんだと。