ゴーストライター

映画館での上映期間がもう一日というところで、慌てて観たもの。キネマ旬報で2011年洋画部門第1位となれば、観るしかないと無理して出かけた。でも、

ゴーストライター [Blu-ray]

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もう、DVDもBlu-rayも発売されているじゃん。まあいいか、映画館で観る映画は、DVDで観る映画と違うんだと。

まずは、なぜこの映画を観たかというと、ヲレの大好きな映画の一つ『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督の作品であることだ。『戦場のピアニスト』の完成度を再び味わいたいと期待してしまうではないか。ユアン・マクレガー主演というのはよく判らない、『スター・ウォーズ』に何の思い入れはないし。

何というか、現代版のヒッチコックみたいなサスペンス。全体的に寒々と気持ちの悪い怖さだ。先日、我が家に空き巣が入ったと思われるが、自分の家に他人が知らない間に出入りされた気持ち悪さと同じ感覚。得体の知れない存在感が怖い。映画の中では言葉で語られるのではなく、雨とか黒い雲、暗い海、薄暗い寒さ、風の音、そしてちょっと時代を感じさせる音楽がそれらを醸し出す。こういうのは「これは怖いです」と言われるより怖い。もー、本当に怖いです。特に、ユアン・マクレガーが、亡くなった前任者が住んでいた部屋で寝泊まりしたり、その部屋のクローゼットには、その前任者が来てたスーツとかシャツなどがそのまま掛かっていたりする。これ、マジ、気持ち悪い。あー、やだやだ。

ストーリは、丁寧な事象説明はなく、淡々と事実が積み重ねられて行くことにより、視聴者に気づかせていく展開。判りにくいが、その判りにくいところが不気味だ。英国の親米外交に対する国民の評価みたいなのが理解していないと、何が問題なのかわからない。大きな感動とかは得られない映画だと思うが、ポランスキー監督の映画はこうして撮るのだという意気込み的な凄さは感じる。正直、もう一度観ようかなとは思わない映画だな。