息もできない

藤枝シネ・プレーゴ。夏休み最後の週末なのに、「息もできない」のスクリーン1(84シート)で客入りは5人、もったいない。というか、贅沢だなあと思う。でも仕方がない。どう考えても夏休み家族で映画っていうのには合わないのだよね。

映画「息もできない」は、韓国映画。暴力、暴力、暴力。殴る、蹴る、殴る、蹴る。「シバラマアー(クソ野郎)」と怒鳴る、怒鳴る、怒鳴る。ほんと、観ていて息ができないほどリアリティ。映画「クロッシング」もそうだったが、映画が終わった時点で、半過呼吸状態で体調悪くなる。迫力ありすぎ。

でもテーマは愛なのだよね。育ってきた環境から、愛に飢えているわけ。肉親の愛、友人、恋人みたいなすべての愛が枯渇していている。そのへんがじわりじわりと映像から伝わってくる。言葉での説明はなく、暴力から感じてくるその創りが凄い。日本では、例えば映画「告白」では効果的に音楽を使っていたが、この映画は音楽あったかあ。耳に残る音は、シバラマーという怒鳴り声・つぶやきと、ボコッっていう殴る音、逃げまわる相手の悲鳴。ひたすらリアリティあり。

ヲレが大好きでシナリオ集までもっている金子正次脚本・監督・主演の「竜二」を思い出した。色合い違うけど、やっぱり最後は悲しいんだよね。

サンフンもいいけど、ヨニもいいいねえ。サンフンと心が通じてくると、とっても可愛く見てくる演技と演出がいい。涙のしかたも韓国ぽっくない。すばらしい。

こういう負のスパイラルから抜け出せない状況って、意外に身近にあるもの。ヲレも日々の仕事の中でどうしようもない環境にある人達に触れることが多い。でも、生きていかなければならないみたいな。日頃リアルに見聞きする中で、この映画の最後にすごく期待をさせておきながらの悲しい結末はかなり尾を引きそう。自業自得だけでは整理がつけられない不条理には諦めきれない怒りを感じる。なんとかならないのかよーって。

これ韓国版のポスターらしい。こっちの方がこの映画を言い当てている。iPhone4の壁紙にする。