石井一二著『徳洲会はいかにして日本最大の医療法人となったのか』

年が明けて病気腎移植を再開したという報道もされた徳洲会宇和島徳洲会病院)は日本最大の医療法人だが、この本は創設者徳田虎雄を中心にその全容について述べている。

著者は、極めて理事長(創設者)に近い人間であるが、そういった面を差し引いてもこの医療法人は凄いぞと思わせる内容だ。とくに地方の公立病院の運営やあり方との比較で見れば、医師会や医大との反目は起こるべくして起きていることだと改めて思うところだ。

徳洲会はいかにして日本最大の医療法人となったのか

徳洲会はいかにして日本最大の医療法人となったのか

昨今の地域医療の崩壊は、国の診療報酬基準の改正や初期臨床研修の義務化などを端に発しているが、そもそも医局制度が崩壊している中で、今後の地域医療を維持していくにはもうこれらとは別のところに求めていくしかない状況まで追い詰められている。我が地域の医療状況も同様で、藁をも縋る思いで徳洲会との折衝が進められている。

それにしても、これだけのオリジナリティ溢れる徳洲会をその地域の住民や医師会、行政などが本当に受け入れられるのだろうか。とは言え、既に救急も受け入れられなくなっている待ったなしの状況の中なので、病院関係者を初め地域住民が如何に意識を変えられるかが大きなポイントとなるだろう。