火天の城

最後の遅い夏休みは、一人で映画『火天の城』を観て過ごす。安土城築城というスケールを感じるには、映画館で観るべきだな。

「西田敏行=釣りバカ」というイメージがあったので、かなり観ることを躊躇していたのだが、「織田信長、安土城築城=ものづくり」という歴史好きの興味が勝り、思い切って観てみたもの。

西田敏行の宮大工・岡部又右衛門は控えめな演技で良かった。俳優の名前がわからないが、織田信長、丹羽長秀、木曾義昌など、歴史上の著名人もそれっぽくてヲレのイメージを崩さない程度でこれも良し。

ダメなのは、岡部又右衛門の娘役の小娘、これは無いだろうが。今年流行った浴衣ムスメのようだ。「お父さん」「・・・なの」など現代風の言葉が違和感有り。時代考証しっかりしてよって。そもそも、ストーリにあまり関係ないのよね、この役。

もう一つキャスティングでダメなのは、秀吉役の河本なんとかというお笑い芸人。お笑い芸人の芸風が映画の中まで出てきてしまって興ざめ。ほんと、ダメダメ。

まあ、言うところあるけれども全体の8割を占める城造りの部分はすごく面白い。職人の心意気ってもんが随所に出ている。なんども出てくる「木組みは心組み」という言葉が忘れられない。そういえば、西岡常一もそんなこと言っていたな。

最後は盛り上がるねえ。んなことできるか?って感じもしないではないが、理屈としてはそうなわけで、職人はすごいと素直に思う。天下統一を目論む群雄割拠の時代には、ハコモノ行政にもロマンがあったんだよなあ。