小さな国の大きな奇跡

吉田沙由里のキューバ体験ルポ。最初から最後まで、バランス良くキューバの歴史と現状を、過剰な私的感想を交えず淡々と解説をしている。とても読みやすく、信頼がおける。

小さな国の大きな奇跡-キューバ人が心豊かに暮らす理由

小さな国の大きな奇跡-キューバ人が心豊かに暮らす理由

キューバの一般的なイメージは、貧困、社会主義、テロ支援国家、革命戦士チェ・ゲバラ、カストロ政権、軍服、キューバ危機・・・などであろう。それぞれ間違っていないが、この本を読んでみると、著者がキューバに入り生活し体験し知ったものは、全く違うものであったという。アメリカがテロ支援国家と指定している北朝鮮とは全く違う実際のキューバの姿に驚きだ。

つまり、キューバは世界で唯一成功した社会主義国家であり、医療も学校も無料。格差がない社会の実現。明日出来ることは今日するな!というスローライフ。長寿の国、人道的国際医療貢献など、キューバ国民は、豊かではないが平和で幸せ、誇りを持って生活をしている。

素晴らしいではないか。日本が戦後の経済成長とともに失った数々の美徳と平和、豊かな笑顔がキューバにはある。日本も一度原点に戻って考えてみる必要がある。何をもって幸せと考えるかをだ。

巻末に、チェ・ゲバラの娘アレイダ・ゲバラの寄稿が掲載されている。

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