博士の愛した数式

本屋大賞読売文学賞の受賞作、ベストセラーです。一気読み、感動しました。ブックオフで105円で新品同様の状態で売られていました。Amazonマーケットプレイスの最低価格は1円(ただし+送料340円)です。著者に失礼です。中古本価格が小説としての水準で決まらない典型的な例です。

著者の小川洋子の作品は、記憶をたどっても1991年芥川賞を受賞した『妊娠カレンダー』を読んだだけかもしれません。調べてみると、私と年が変わりません。芥川賞選考委員ですか、風邪をこじらせて仕事を休んでいる私とは随分と違います。

完璧な文章の中には、尊敬と愛情が満ちあふれています。今は、子供と一緒にニュースを見るのが嫌になるような不誠実な世の中ですが、この小説は、もしかしてまだどこかにこんな敬愛な世界があるのかもしれないと読者に期待をさせてくれるような気がします。読後は、優しさに包まれます。

プロットも含め無駄が一つもない計算され尽くされた小説です。それは、博士の愛した美しく完璧な数式のようです。