1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

五十嵐貴久の小説。この作家も今は売れていますね。初めて読みましたよ。正直言って、寝食犠牲にして一気読みでした。面白い。

1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

帯には家族小説と表現されているが、40歳過ぎた主婦が主人公であるだけに生活感漂うところがリアル。普通の主婦がバンドを結成し、ディープ・パープルのスモーク・オン・ザ・ウォーターを演奏するという話。もちろん、ギターもドラムもみな初心者の集まり。高校受験に失敗した息子が「ママ、40過ぎてROCKかよ。みっともないからやめてくれ!」と叫ぶ。

Deep Purpleの"Smoke on the Water"は、20〜30年前のアマチュアバンドのギタリストにとっては、キーボードでいう"猫ふんじゃった"みたいなもので、当時は誰もが最初にこの曲を練習しカバーをしていると思う。ギターの基本テクニックが学べる最上の練習曲だった。懐かしい、ヲレも得意になってやったもんだね。

この小説の素晴らしいところは、なんと言っても最後のコンサートでの主人公の主婦の叫びだ。この一言を言わせたいために著者はこの小説を書いたんだと確信する。