フルサトをつくる

地方の適度な田舎に生まれ育ち、小学校・中学校・高校と自宅から徒歩と自転車で通い、大学らしきところで社会勉強するため4年間八王子に下宿し、また地元に戻って就職。全然、波瀾万丈じゃなくて、地味にずっと田舎暮らし。故郷って外から見たイメージが強いので、どうも故郷があるようでない感じ。あえて言えば、第一の故郷は今住んでいるここ、第二の故郷は東京都八王子市、第三の故郷は福島県南相馬市かな。
この本『フルサトをつくる』の副題は「帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方」だ。つまりは、生活拠点を持ちながら、もう一つの拠点を作ろうという趣旨。定住とか移住とかの概念を越えたフルサト。多重拠点居住、地方都市に時々暮らしながら、そこに馴染み、心安らかに過ごしていくフルサト。そこではまさに田舎暮らしを満喫するということ。

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まあ、都会に住む方の道楽みたいで、地方からみるとどうよと思わないわけではないが、それでもこういった試みが移住とか定住とかに繋がっていくかもしれないという期待もある。いきなり地方へ移住せよといってもねえ、不安も心配もあるからそのお試し移住みたいなもの。わからんでもない。

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昨年一年間、南相馬市に単身赴任した。仕事だ。寒々とした東北からみれば、静岡なんて雪降らないし便はいいし、物も人も経済も活発に動いている。外から見てみると良く判るのだ、自分が生まれ育った地の良いところが。フルサトを一つ、二つ持ってみることもいいかもしれない。自分探しじゃなくて、新たな可能性を求めて、新しい生き方を体験する。何を持って幸せと感じるか、第二、第三の人生の選択肢の一つとしていいかもしれない。