天錦の天丼

食べるのは2度目だが、これ逸品。実に美味しい。箸袋には「喰べるたのしみ、生きるよろこび」とある。

浜松市内の有楽「天錦」。小さくて素っ気ない店構え。看板の奥に洗濯物が・・・。でもいいんだよな、そんな些末なこと。店内は奥に細長くカウンターのみで10席。

目の前で揚げたばかりの天ぷらが満載。海老3尾、大葉、鱚(きす)かハゼ、海苔、玉子が積み重なっている。

玉子は黄身だけで、箸で突っつけばトロリと黄身が流れご飯に絡む。凄い。手のひらに載せた黄身を衣にくぐらせそのまま油の中に手の先を突っ込むという驚きの揚げ方。指全体が油の中に入るくらい突っ込む。熱くないのかと思うが、衣が手の先を覆っているので大丈夫な様子。カッコイイですよ、大将。

天つゆは甘めであるが、諄くなく意外にあっさり。揚げたての天ぷらをご飯の上に載せて、お玉で一杯天つゆをぐるっと回す。空中で回転させて蓋をした丼を逆さにして余分な汁は捨てる。最後に布巾で丁寧にどんぶりを拭いて、カウンター越しにお客さんに出される。もうその手際の良さは本当に見事。菜箸の使い方もカッコイイ。

食べている途中の良いタイミングで出してくれる揚げたての海老を海苔で巻いた天ぷら(磯辺揚げ)も塩加減が丁度良い。その他、漬け物(これがまた美味い)、具だくさんのアサリの味噌汁も付いて1000円。寒空の下で30分待つ価値がある天丼、一度、お試しあれ。