陸前高田、再び。意識すること・・・(記録)

さて、訪れて早くも一ヶ月が経とうとする陸前高田ですが、写真が散逸する前に、また機会を逃す前に記録をしておきます。目的は、やはり津波の・・・自然の恐ろしさを知ってもらうこと。そして、この震災を忘れないということ、怖さを知って備えてもらうことです。

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街並みが消えた陸前高田中心地の全景です。高台にあった中学校のグラウンド端から見た景色ですが、今回、案内して頂いた方は、巨大な津波に追われ、この高台まで雑木林の急斜面をよじ登って助かったとのことです。

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わずかに残ったRC構造の建物。この屋上の部分まで津波が到達しています。ここに来ると、自然に対して、例えば、少しばかり泳げたりライフジャケットを付けていたりとか、そういうことでの対策は無駄だと感じます。巨大な壁が瓦礫と共に襲って来るものに対して、小さな人が出来ることは、一秒でも早く海岸から遠くへ、1メートルでも高いところに逃げることです。ライフジャケットを切る時間があったら、その時間を使って逃げることが必要です。構築物に頼ったりすることは危険であると知るべきです。

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これも判りやすい津波到達水位を示す遺物です。電柱も電線も道路標識も震災以降に設置されたもので、ガソリンスタンドの看板だけが残りました。恐らくこの道の反対側(海側)に道の駅があったため、それによって多少、津波の勢いが削がれたのではと想像します。

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陸前高田は、T.P.+12.5メートルの防潮堤を構築する予定。現在、土盛りの強度試験中で本格的な造成は今後のこととなります。命山に近いもので、これは従来型の構造物では耐えられないとの判断と思われます。ただし、実際の津波到達水位は、T.P.+12.5メートル以上です。

この山側に嵩上げした中心街(商店街など)を整備するコンパクトシティ構想です。また、居住区域や学校・市役所などの公共施設は高台移転となりますので、周囲の山は切り土・盛り土など造成工事の真っ最中でした。高台移転により発生する土砂は、中心地の嵩上げにも活用されます。1年後にはかなり様相が変わってしまうことが想像できます。

 

以前にも書きましたが、もう一度、大切なことを書きます。

構造物に頼ったり、小賢しい対策に安心することは危険です。そして被災地を自分の眼で確認し実感することが正しい判断には必要だと思いました。とはいえ、なかなか被災地を訪れる機会は作れないので、せめて今回掲載した写真などを見て、想像し、そして考えてみて下さい。常に意識する必要があります。

 

最後に、今回、ご自身の復興・再建にお忙しい中、被災地をご案内・貴重なお話をして頂いた方々にこの場を借りて御礼申し上げます。また、この機会を作って頂いた友人にも感謝します。本当にありがとうございました。

 

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