動脈瘤だとおっ、くも膜下出血をぶっ飛ばせ

ほぼ毎年、人間ドックを受けているが、今回の検査の中で一番の心配は、胃カメラだった。しばらく胃に異物感があったり、胃痛があったりして、巨大な腫瘍があったらいやだなあと思っていた。ところが、医者は「きれいな胃ですねえ、十二指腸も大丈夫、普通この辺に潰瘍の痕があるのですけれどねえ」なんてカメラを操作しながら宣う。ヲレには、ストレスという単語はないのか!という感じ。

やれやれと思ったのもつかの間、3日ほど経った夜8時頃、検診センターから電話が入る。家族団らんの夜8時ですよ。ふつー、ビビるですよね、この時間。それで、電話の相手は、

MRIで所見がありましたので、至急、医師から説明を受けてください。いつにしますか?

ときた。

もう、覚悟しましたよ。先日観た映画『エンディングノート』が頭でぐるぐるしちゃったりする。まあ、でもね、ヲレは心臓の方もあれだし(ニトロペン常備)、突然死タイプだよなと常々思っていたのでそんなものかという境地でもあるのですよ。

至急と言いながらも、のんびりと3日後、几帳面で神経質っぽい医師の説明を受ける。

ここの所に2.5mmの動脈瘤と思われるものがあります。1年半前のMRIでも所見があったのだけれど、診察を受けられましたか。念のため専門(脳神経外科)の医師の判断を仰いでください。

想像どおりの説明で、それ以上の衝撃的な告知はない。拍子抜けしたが、1年半前は「すぐに来て」という連絡もなかったんだよな。検査結果票も「右内頚動脈の後交通動脈分岐部付近に径2.5mmの膨隆性変化が疑われます」というもので、=動脈瘤とは思わないだろ。膨隆性変化って説明を受けなければ判らないんだよな。そういえば、その時、それについてネットで検索したような気がするなあという程度。

結局、紹介状とMRI画像フィルムを貰って脳神経外科の診察を受けることにする。フィルムは買い取りで、ヲレの財産。これはちょっと嬉しい。ファビコン変更しようかと思えるほど綺麗な画像である。

ということで、いろいろあったが、今日は某私立総合病院の脳神経外科の診察。ここは医院長が脳神経外科の先生で評判が良い。初診なので医師の説明の後、MRI検査を受ける。MRIの閉塞感はもう慣れた。目を閉じていれば、そのうち寝落ちし、すぐに終わる。

というか、ここのMRI機器はそれなりで、最新鋭の検診センターのMRIにはかなわない。検診センターは、人間ドックを受けた日が新装オープンの日で、ヲレがその最新鋭MRIの最初の検査者だったのだが、そこから得られる画像は段違いに鮮明。解像度で例えればVGAXGA、いやSXGAくらいか、印象としてはWindowsとMacくらい美しさが違う。こうなると、この脳神経外科のMRIではよくわからないくらい小さいヲレの動脈瘤、知らなければ見逃すんじゃないかくらい。こういうヘリカルCT、MRI、エコー、レントゲン、内視鏡は、もう最新鋭の機器が導入されているところで検査をした方がいい。医師の解析力とかいう以前の問題として、そこに映し出される画像の差はそれを凌駕している。

とにかく、ここでの結果も想定どおりで、ある意味、納得。特別なことではなく、そういうことで運命、なるようになるしかないのだと。医師とのやりとりを自分の覚えとして、箇条書きで記録をしておく。

  • (医師)動脈瘤と思われるが小さいので、すぐにどうこうというものではない。しかし、小さいからこれがなにも悪さをしないということではない。小さくても破れることはある。くも膜下出血だね。くも膜下出血が起これば、半分は死にます。
  • (ヲレ)破れることがあることであるが、破れないこともあるのか。
  • (医師)あるだろうが、それはわからない。予見できない。普通に考えれば、小さい方がリスクは少ないだろうが、絶対とは言えないということ。爆弾抱えているのと同じだから。でも、70歳、80歳の人で同じような所見が見られた場合、積極的な治療をすることはない。
  • (ヲレ)動脈瘤と思われるということはどういうことか。
  • (医師)血管の小さな曲がりであるとかそういうこともある。
  • (ヲレ)どうすればはっきり判明するのか。
  • (医師)造影剤を入れて検査をすれば判るだろう。ただし、まれに造影剤に対するアレルギー反応などによる副作用がある。
  • (ヲレ)時々、軽い気管支系喘息になるのだが。治療はしていない。
  • (医師)おおおおっ、それは担当する医師とすると積極的にやりたくない要因ですね。造影剤の副作用のリスクと動脈瘤の正体を判明させるメリットとの比較になる。
  • (ヲレ)動脈瘤であるか否か、その正体を判明させた場合に、治療方針が変わるか。
  • (医師)この大きさであれば、動脈瘤であっても経過観察であろう。現在、投薬治療をしている降圧剤とかで血圧やコレストロールなどの管理を継続してもらう。
  • (ヲレ)だったら造影剤を入れて検査をするメリットがないのでは。
  • (医師)現時点では、結論をはっきり出したいという場合のこと。
  • (ヲレ)状況が変わらないであれば、造影剤を入れた検査はやめます。
  • (医師)それでいいと思うよ。
  • (ヲレ)2.5mmということで小さいということだが、大きいとはどのくらいのことをいうのか。
  • (医師)4mmとか。大きさだけでは危険度が判断できない。
  • (ヲレ)積極的な治療方法があるのか。
  • (医師)手術であるが、手術もリスクがある。高齢者の場合は、変化がなければ手術は行わない。君はまだ若いので、その必要があれば手術ということも考えられる。
  • (ヲレ)その必要というのは。
  • (医師)例えば、動脈瘤の変化、大きくなってきているとか。
  • (ヲレ)変化がなければ、経過観察で良いか。
  • (医師)現状では、それでいいと思う。
  • (ヲレ)何か行動とか制約があるか。
  • (医師)普通の運動なら良い。もっとも悪いのはキレること。
  • (ヲレ)へっ?血管が切れる?
  • (医師)いや、シャレですよ。カーッとなること。頭に血が上る状態。
  • (ヲレ)要するに、血圧が上がるようなことをしなければいいのか。
  • (医師)そうだね。ストレス、暴飲暴食、過度なアルコール摂取、寝不足、運動不足など。普通に気をつけなければならないこと。特別なことではない。
  • (ヲレ)確認したいがくも膜下出血を起こす確率的な統計はあるか。
  • (医師)難しいが1%・・・うーん、大小併せて1/50くらいか。環境、状況による。
  • (ヲレ)ヲレの年齢でこういう所見はどの程度あるのか。
  • (医師)ほとんどの人がMRIなどをやらないので、あっても判らずにいる。あなたは、定期的にMRIをやっているので、幸いにして判ったと言うこと。くも膜下出血は、誰でも起こりうること。
  • (ヲレ)判っただけよかったとうことか。
  • (医師)そう、経過観察でいいと思う。判ったから今後、すこし注意をしていくことができる。
  • (ヲレ)今後、どうしたらよいか。
  • (医師)血圧の管理は続ける。定期的にMRI検査を受けるでよい。
  • (ヲレ)MRI検査の頻度は。
  • (医師)2〜3年でもいいと思う。
  • (ヲレ)では、人間ドックを毎年やっているので、そこでMRIを受けることにする。
  • (医師)それでいいよ。検診センターでMRI受けて、そこで新たな所見があれば、また紹介状書いてもらってください。そうしたらその時に考えましょう。
  • (ヲレ)薬は出るのか。
  • (医師)必要ない。心臓血管内科で処方されている降圧剤の服用を続けてくれれば良い。血圧管理ね。
  • (ヲレ)おーけー。あとは、運命に任せます。しかたないですよね。
  • (医師)しかたないですよ。どうせ年金もらえないし(笑)

最後の所とか、途中も創作(若干)が入っているが、概ねこんな感じ。

今回の人間ドックは、いろいろ勉強になったし、自分の生き方などを考え直す良い機会にもなった。病気については、循環器も脳もなんらかの所見があるのだが、じゃその危険因子を完璧に除去したとしても、いずれ死ぬんですよね。もし「それじゃあ、お前はどうして死にたいのだ。」と問われても明確な解答はない。何らかの理由で誰もが死を迎える。早いか遅いかも含め、それは人生であり運命である。だから、病気に対してなんとかしてやろうとあまり過剰に反応する必要はない。できることやって、あとはなるようになる。ヲレの好きな言葉で「100年たったらみんな死ぬ」というのがあるが、そうなんですよ。

ということで、頑張りましょうや。最後に、そうは言っても40歳過ぎたら人間ドックを受けることを勧めておく。備えあれば憂いなし。