エンディングノート

父の癌告知から死に至るまでのドキュメンタリー。新年初の映画にしては重い。残された時間をどう過ごすのか、営業一筋で働き続けてきた父親の死への段取りが描かれている。おもしろ可笑しく、そして悲しい。この人、有名人でも何でもない。普通のサラリーマンだった人。だからこそ生々しい。

洗礼を受けるために神父を訪ね、孫と遊び、葬式会場を下見し、最後の家族旅行。亡くなった時の連絡先リストを作る。どうしてこう冷静なのか、自分が余命を宣告された時、こうなれるのか自信がない。映画を観ながら知らない間に自分に置き換えている。家人と一緒に観たので余計にそう感じる、ヲレ、大丈夫かと。

3年前に親父を亡くしたが、エンディングノートに書かれていた言葉を思い出す。それが、家族に覚悟を促す手段として有効であることは間違いない。この映画では、エンディングノートが映像で表現されているだけ。家族と死、そして新たな命、永遠のテーマが凝縮されている傑作。