琵琶湖の夕焼けとびわ湖クルーズ

三重県鈴鹿市に出張したついでに滋賀県長浜市に寄ってみた。まあ正直、寄ってみたという位置関係ではないが、おそらく17、18年前、北国街道黒壁1号店ができた頃、一度訪れたことのある長浜がどんな風に変わっているかどうしても見てみたかったということ。知り合いがいるわけでもないし、命令でもないし、義務感があったわけでもない。

長浜に着いて駅の近くのネットで予約したホテルのフロントの女性に確認をした。「長浜に久しぶりに来たが、24時間以内に絶対これをしたほうがいいことを教えてくれないか」と尋ねると、

  • びわ湖の夕焼けは見て欲しい。夕焼け100選に選ばれています。
  • 近江牛を食べて貰いたい。「毛利志満」がお薦めです。
  • 行列のできる親子丼で有名なのが「鳥喜多」(http://d.hatena.ne.jp/tipitu/20111107/1320676749)です。
  • 明日は天気が良さそうなので、ぜひ、びわ湖クルーズを。竹生島がいいですよ。

と、端的にわかりやすく教えてくれた。多謝。

さっそく、びわ湖の畔に夕方の散策。ホテルから5分、ヨットハーバーがあったりしてのどかな雰囲気。湖岸というのは、雑音を湖面が吸収するのかさざ波の音しか聞こえなくてとても静かで心が落ち着く。まさに心のリフレッシュだ。

夕焼けはすぐに訪れる。美しい。湖面に映る夕日の輝きが幻想的だ。それもあっという間に消えていく。しばらくすれば、薄暗い夜を迎える。このぐずぐずしない一瞬の間が貴重なのかもしれない。

一度ホテルに戻って休憩し、夕食は毛利志満に。これはエントリ済(http://d.hatena.ne.jp/tipitu/20111108/1320760932)。翌日は、神の住む島「竹生島」(「ちくぶしま」と読む)クルーズ。快晴、風はなく、湖面は凪のようだ。長浜港の始発は9:00なので、のんびりだ。料金は往復で2980円といい値段。それでもかなりの人が乗船をして、ほぼ満員状態。

一人なのでデッキに出てぼんやりと湖面を眺める。途中、うつらうつらして一瞬記憶が途切れるほど気持ちが良い。30分で竹生島に着く。周囲2キロの小さな小さな島。いいではないか。

船着き場。ツアー客みたいな集団がたくさんいる(朝っぱら酒飲んでいる輩もあり騒がしい)ので、一番最後に下船する。紛れて島内の見学をしたくはなかったので、しばらく船着き場で休憩、静かになるのを待つ。

うん、確かに神の住む島という雰囲気。弁才天を本尊とする「宝厳寺(ほうごんじ)」と浅井姫命を祀る「都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ)」がある。島内はそれ以外のところに行くことはできない。ツアー客は見学順路にしたがって法厳寺に向かったようなので、逆順路で都久夫須麻神社を訪れる。

都久夫須麻神社は、平家物語にも出てくる拝殿から、願い事を書き入れた素焼きの小皿を投げるのがルールらしいので、一人で投げてみる。なんてことないのだが、我が家は、最近神道になったので、ここは得意の2礼2拍1礼できっちり拝礼をする。湖面が日の光を浴びて輝き、美しい。

逆ルートで法厳寺に向かって歩く。途中の舟廊下は重要文化財。ここも人がいないときに歩きたい。舟を解体して造ったらしい。

法厳寺の観音堂入り口「唐門」は国宝。上から眺めると苔むしていて歴史と長い時間の経過を感じる。弁天堂をさらりと参拝して(神道なんで)、船着き場に戻るため、165段の石段を下る。転がり落ちたら死ぬかもしれない。島の中腹から眺める琵琶湖は美しい。たまたま無風の快晴、小春日和って感じだったからもしれないが、生きている幸せを感じる。

波止場に戻って、出航の時間まで陽だまりを楽しむ。乗り込むための長い行列。なんで並ぶのかな、復路の乗船券はあるのだから。最後に乗り込み、帰りもデッキで去りつつある竹生島を眺める。

心の疲れを洗い流すような貴重な時間を過ごすことができた。何年かしたら、また生きたい、いや、行きたいぞ。