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副題が「東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録」なんだけれども、この「無名戦士」という表現が麻生幾らしい。戦士かよって突っ込みたくなるが、文章もそれらしくテンションのむちゃくちゃ高い。読んでいて恥ずかしくなるほどだ。小説では無くノンフィクションであるので、もう少し冷静にというのは麻生幾にはムリか。

それはそれとして、多くの人たちが危険を顧みず我が身も省みず被災地のために頑張ってくれたことは事実。そういった人たちのことを記録しておく必要があるし、良くも悪くもしっかりと評価しなければならない。それが職務であろうが、まさに無名の人たちの力の結集により成し得たことが多くある。感謝しなければならない。

前へ!―東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録

前へ!―東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録

この本で判ることは(判っていたが)東電の対応のひどさと誠意の無さだ。いろいろ言いたいことはあるが、この本に限ってはそこの暗部ははっきりしている。事実であるだろうし、これらを前提に原発が運用されているということを考えれば、今の原子力発電依存という意識を変えなければならない。福島ではあれだけの犠牲が出てしまったが、その犠牲を無駄にすることはできない。何が悪かったのか、何を変えれば良いのか、もう一度立ち止まって考えようではないか。

で、表紙の写真がいい。