牧之原市での原子力防災学習会(武田邦彦氏の基調講演ほか)

平成23年8月31日(今日だ)牧之原市で行われた原子力防災学習会の記録。その場でMacBook Airで記録したものなので、正確では無いかもしれないが雰囲気は伝わると思う。掲載に当たっての修正はしていない。最初は、武田邦彦氏(中央大学教授)の基調講演。後半は、武田邦彦氏、山本義彦氏(静岡大学名誉教授)、牧之原市長の対談(パネルディスカッション)。全部で約2時間の学習会だった。

※ MacBook Airは、バッテリー残量90%で初めて終わった時は3%。半分くらいしたところで、ネットワークを切断し、キーボードのバックライトもやめた。2時間、キーを打ちっぱなしなのでこんなものか。ソフトウエアは、ATOK2011とOmmWriter(エディタ)を使用。

武田邦彦氏の基調講演>

放射線は、光と同じ。距離に関係が無い。近くても遠くても同じ。
放射線では無く、灰(放射性物質)がくる。
遠くに逃げろ!は間違い。
逃げるべき人は横に逃げる。逃げる必要が無い人は逃げないのが原則。
新型インフルエンザより粒子は大きい。新型インフルエンザ対応のマスクをかけて横にげる。500メートルの山は越えない。ペットボトルの水を持って行く。
防災は、形式では無く現実をみること。
風がどう吹くかを注意すること。
放射性物質は10キロの幅で流れる。
牧之原は近すぎてどうにもならない。
あえて言えば、浜岡原発の方に逃げるしかない。
浜岡原発の爆発しそうになったら1日前にわかる。現場から市長から消防に直接連絡するよう体制を作ってもらいたい。
救命ボートを用意することは船主の義務。
浜岡原発は、いい原発だと思う。いいから大丈夫かというかそうではない。
実は、東日本にある原発震度6ですべて壊れている。電源を喪失している。けっして、安全では無い。
外国には報道されているが、日本は報道されない。
科学はごまかせない。
この状態で安全とはいえない。
福島県知事は「東京電力に騙された」という。おかしい。
東京電力は安全だと思っているから運転している。
だけれども自治体の長は、事故が起こるかもしれないから対策をとっておくのが当然。
危険だから対策をする。
福島第一原発の事故は、偶然では無い。
原発が安全かどうかは議論する必要が無い。
柏崎刈羽原子力発電所の事故以後は、その議論は無駄。
震度6以上は駄目。
2006年の新耐震指針。
被爆させないで原子力で電力を供給させたいと思ったが、被爆を前提で議論をするなどあり得ない。
今度の事故は、まさにその実証実験になってしまった。
技術的に耐震4か5しかない。
原発を視察してもなんの意味が無い。
1年1ミリシーベルトの被爆を守るつもりでいたが、原発事故が起こったら20ミリシーベルトまで安全であった。
なぜ、1ミリシーベルトであるか。
もともと戦前まで人工的な放射線はなかった。放射線は毒物。
その後、世界中の基準を決めた。これは科学的根拠は無い。あくまでも約束事。
ドイツは0.3ミリシーベルト。これで放射線からの安全を確保した。
原発から電力を供給されることの代償として1ミリシーベルトまで我慢してね、ということ。合意。危険であるとかそういうものではない。
福島第一原発の事故は、人体実験と同じ。
広島原発とは桁が違う。
チェルノブイリ、スリーマイルについで3度目。
チェルノブイリについて、最近になって被爆の影響がわかってきた。
医学的にわからないからいままでの約束通りにすべき。
いま、国は1年で20ミリシーベルトという基準。静岡県も同じ。これは、年400回の全身レントゲンをするとのこと。納得性に欠ける。
レントゲンのボタンを押すときに、鉛の部屋に入る。危険だからだ。
これが危険かどうかわからない。
我慢しろという人がいる。我慢する義務は無い。
食材もひどい。
空間から20ミリシーベルト、埃から10ミリシーベルト、食材10ミリシーベルト、計40ミリシーベルト。レントゲン年800回。甲状腺がんがでる寸前。ヨウ素剤を飲むべき。
日本からアメリカに逃げた人には、空港でヨウ素剤を飲ませた。
ヨウ素剤は自宅に置いておく。
なぜ、美しい静岡が放射線に怯えなくてはならないのか。
2歳の子供は成長する際に遺伝子を見に行く。胎児はお母さんの防御が効く。幼児を守らなければならない。女性も大切。
福島を助けるのであれば、福島の食材を使うのではなく、福島にきれいな食材を届ける。福島を助けるために静岡の人が被爆してはおかしい。
必要性と安全性をクロスさせてしまうのが日本人。
フランス人は、原理力発電の必要性と安全性は別に考える。街の中に原発を立てている。だから安全だという。
日本は、安全と言いながら地方にたてる。交付金も出す。
電力が必要なら原発が安全であるという理屈はおかしい。
地球の温暖化のために原発が安全になるのか。
石油石炭は8000年あるという試算をしている。資源は無くならない。
火力発電所を3つ作ればいい。
1970年に残り40年、2010年に43年という発表。おかしい。
地球温暖化が怖いというも洗脳されているだけ。
例えば、温暖化で南極の氷が溶けない。

<パネルディスカッション>

(市長)静岡のお茶飲むな、なにが問題か。
(武田)データがでないこと。一番心配なのは牛乳。ベクレルを表示すること。静岡のお茶もベクレルを出すこと。どっかの知事が「県民にベクレルを表示をしてもわからないから安全だと言えばいい」と言った。とんでもない。
(市長)情報の共有について
(武田)民主主義は市民が主人である。主人にデータを提供するべき。
(市長)どれが正確かどうかわからない。
(武田)専門家の責任。専門家が福島原発から1ミリシーベルトを変えてしまった。専門家は社会に配慮してはいけない。配慮するのは政治か。
(山本)学問のために学問があるわけではない。人間が安全安心を確保できるのかである。細分化しすぎて市民に話をすることが非常に少なくなった。原子力に対する理解が原発の専門家以外は学者であっても理解していない。
(武田)原子力の専門家がいなければ今度の事故は起こらなかった。原子力知識があるということはこういうときこそ技術的なアドバイスをしなければならない。
(市長)福島のことあることがあったら原発を認めなかった。浜岡を止めてあるから安心なのか。防潮壁があれば大丈夫なのか。
(武田)中部電力は、現在の放射線の状況を発表すべきだと思う。だんだん減ってきているはず。たぶん2年くらいたてば、相当安全になるのでは。それまで地震がこなければいいと思う。津波なんて防潮堤だけの問題だけではない。
(市長)汚染はどうなるのか。
(武田)土は1センチ、アスファルトは0.2ミリまで一斉に除染。数十兆円かかる。原発が爆発すればそれくらい掛かる。爆発した場合の3つの対応、放置200年、積極的な除染、汚いところに住む。これは自治体が判断する。
(山本)自治体にはそんな判断能力は無い。そこに生きて暮らしている人がいる。これに対してどう考えるか。農業、水産業、逃げられない。逃げてどこにいくのか。金銭的保証でできない。まったく見えない。
(市長)我々は、絶対事故は起こらないと思っていた。
(武田)私たちにも責任がある。福島の事故は偶然ではない。現実を真正面からみるべき。軽水炉の場合は事故は1万年に1回と言われているが、2007年で7つの原発が壊れている。
(市長)菅総理が停止、原発が危険というのが周知された。企業の皆さんも危機感を持った。原発は地域振興になるのか。
(山本)浜岡ができるとき大多数の人が安全安心よりも地域振興に寄与するのではないかと考えたのでは。選択の余地がなかった。お金で従わせた。いままでは工業優先であったが、今は違う。従来のやり方を踏襲する地域政策を続けるのは心配だ。
(武田)地域政策は地域を駄目にする。悪循環、なぜか。
(山本)自主的に自律的に変革していく組織化に成功しなかった。
(市長)原発交付金、新しい産業について。
(武田)危険性と事故の時のお金、ひっくるめと地域経済を不安定にするもの。オーストラリアの炭鉱、1000年分の石炭がある。日本とヨーロッパの機械で掘る。収入は炭鉱の堀り方で決める。日本が石炭を買ってくれなければ持たない。資源国が困ってしまう。エネルギー自給率の方が食糧自給率の方が安全。
(武田)自然エネルギーは自然を駄目にする。生物の活動は、エネルギーが元になっている。風力発電は駄目。お茶が育たなくなる。再生可能エネルギーという言葉はおかしい。エネルギーは再生できない。太陽光も駄目。人間がいらないという所につけるということは自然をなくすということ。10年くらいすると反省するのでは。
(市長)原発と火力発電しかないのか。
(武田)石炭はいろいろな国が出す。爆発しない。送電線もある。ごく自然、考える余地もない。
(市長)交付金については。フランスは。
(武田)フランスにも少しはある。水は川の水を使う。
(山本)特定の地域の大容量の発電をおく。危険性があるから過疎地域に作る。危険性があるから過疎地にどんどん増設する。交付金が出る。特定の所に特定の産業(原発)集中することの問題である。
(武田)御前崎は風が行かないけれども牧之原には灰が舞う。御前崎はお金だけ来て灰は来ない。あれが一番いい。
(市長)使用済み燃料、どうなるのか。
(武田)六カ所は中間処理だから2.7倍になって返ってくる。300メートル地下に埋めた方がよい。危険な廃棄物がでることは仕方がない。
(市長)市民意識調査をした。まだ2割が安全であれば原発に反対しない。
(武田)安全は確認できないので、この2割はやめろということではないか。
(市長)野田さんは、再稼働に積極的だという。今後のプロセス、どうすればいい。
(武田)耐震審査指針、それを見る人、福島があっても変わっていない。耐震指針を変える、震度8でも大丈夫なものができるか。システムを変えることができるか。保安員の体質、気が狂っている。自分たちで判断しない。形式だけが整っていればいいという人たち。だれも安全はできない。国民感情と離れている。その人たちが泊と玄海を審査している。形式的な審査では安全は守れない。通報体制と救命ボート。消防に通報すること。
(市長)市長や議会になにを求めるのか。
(山本)審査基準がだめなことは事実。耐震基準も駄目。震度8で大丈夫なような投資活動はしないだろう。地震が心配な中でどうして増設するのか、どうして反対しないのか。今の環境の中で再開するのは不可能ではないか。再開しなくても核は残るので安全管理は必要。防潮堤は必要、安全な地域社会のために作ってもらうことを言い続けること。川勝知事とも話をしようかと思っている。果たして原子力がなければ電力が足りないのか。中電は原子力はなしで関西電力に供給した。東電も同じ。余剰電力は8%程度で良い。多少の工夫をすれば切り抜ける。計画停電はなんだったのか。あれは明らかに原発が必要であると思わせるためのもの。電力会社は、どこまで電力供給が必要か情報提供すべきである。
(市長)メッセージを
(武田)計画停電は必要なかった。十分に余裕がある。経済発展もあるので火力発電で余裕を持つことも必要。原発がなくても手段がある。手段があるのに原発を使う必要があるのか。中途半端に原発をやることはない。30年、50年の単位で住んでいるところを奪われる。そんな覚悟があるのか。子供たちの将来を考えた施策をお願いしたい。