チルドレン

もう一言に尽きる。伊坂幸太郎、巧い!

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同じく伊坂小説の傑作『砂漠』もそうだが、キャラクタの作り込みが半端じゃない。でもそれが押しつけがましくなく、自然とその人物像が読者の中に出来上がっていく。一つ一つの会話の巧妙さ、プロットの意外さ、派手ではないけれどもきっちりと最後にまとまる展開の妙、誠に素晴らしいじゃないですか。

伊坂作品は、書名もカバーデザインも積極的に読んでみようと思わせないものが多いが、手にとって読んでみれば、どっぷりとその世界に浸かることができる。派手な宣伝と見栄え重視のデザインによる商業的な売り方ではなく、作家としてのプライドなのか、小説そのもので読み手の心の奥まで掴んでしまうその姿勢は、実に好ましい。

この小説。軽く読めるけれども、実は一言一句計算され尽くされており、安易に読み飛ばしては勿体ない。2度読めば2度の喜びを感じることができる奥の深い小説。安近短の時代、伊坂小説は、貴重な存在だ。

登場人物は少ないがそれぞれ魅力的。陣内も良いが、ヲレは永瀬かな。著者の永瀬に対するやさしさが感じられ、読後感が素晴らしい。伊坂幸太郎は、金城一紀と並んで、ヲレの人生にとって絶対に外せない作家の一人となりつつある。この様な小説、作家に出会えたことに感謝しなければならない。

うーん、借金しても買え!

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