永遠の0

前評判がとても良かったのでずっと気になっていたのだが、読まずにいたもの。文庫本で600ページ弱もある。

小学生の頃から月刊誌の『丸』を購読し、漫画では松本零士の戦記物、貝塚ひろし『烈風』、ちばてつや紫電改のタカ』なんぞ愛読し、小説では豊田穣や吉村昭を舐めるように読み、プラモデルは零戦、隼、やっぱり局地戦闘機"紫電改"だったりした。その後、知覧に2度、鹿屋にも行った。

永遠の0 (ゼロ)

永遠の0 (ゼロ)

したがって、この小説の中で延々と続く状況説明は概ね理解していたつもりだが、あらためてこうして読んでみると、記録だけでは見えない悲惨な状況がよくわかる。

それよりも、物語としても逸品であることもさるものながら、戦争を語る人たちが皆無になりつつあるこの時代にこういう小説を書かれたことに敬意を表したい。80歳を超える語り者としておかしな言葉遣いや敬語の使い方の疑問は多々あるが、些末なこと。良質な小説なので、今の若者達にも読んでもらいたい。戦争賛美にならないよう祈りながら。