重力ピエロ

いいな。ヲレが読んだ伊坂作品の中では『砂漠』についで良くできていると感じた小説。

重力ピエロ

重力ピエロ

まずは、兄弟の会話が洒落ている。こういう会話というか発想ができるようになりたい。小気味良い会話には、ところどころに伏線が張られていて、油断ができない。たわいない会話に妥協しない伊坂幸太郎のこだわりに感服。

非常に重いテーマで、基本的に救いのない展開なのだが、全体を眺めてみればどこかに安心できる拠り所を設けてある。そういった微妙なバランス感覚が素晴らしい。たぶんこのままでは終わらないだろうよと安心して読み進めることができる。

相変わらず、カバーデザインが薄暗くて気になる。手にとって読み始めるまでのハードルが高い。

それにしても、夏子はどうなったのだろうかと気になるところ。中途半端に忘れ去られてしまったようだ。積み残しのまま終わってしまうのは納得がいかないぞ。