巡礼

過去のふるーいイメージしか残っていないが、桃尻娘橋本治だ。懐かしい。小説だからとても嬉しい。

巡礼

巡礼

ときどきマスコミにも取り上げられるゴミ屋敷、この小説はゴミ屋敷になっていく経過を一人の男の人生を通して描いている。戦後日本の庶民の一生の結果がゴミ屋敷に集約される。

どうしようもない運命なんだけど、唯一の救いは、主人公のお兄さんだ。人生の最期になって、最後に身内であるこのお兄さんに救われる。橋本治の筆力と巧みな構成によって、どっぷりと感情移入させられた読者も救われる。極めて秀逸な小説だ。

そういえばこの本、平野甲賀の装丁だ。ずっと意識してこれなかったけど、まだ活躍しているんだ、30年前と変わらない。