筒井康隆全集と思い出

1ヶ月ぶりくらいにブックオフに行くと最初に目についたのが単C、105円棚にずらりとならぶ『筒井康隆全集』だ。全24巻、1巻も抜けが無く、全巻揃い。条件反射的に2カゴ一杯にして購入。

帯無しが第20巻のみで、酷いヤケやシミもない。25年以上経っている古書としては程度が非常に良い。

昭和58年から刊行が始まり、最終刊24巻『ジーザス・クライスト・トリックスター/点景論』は昭和60年3月発行だ。ヲレがまだ就職する前で、リアルタイムに購入したのは、第21巻『大いなる助走、みだれ撃ち讀書ノート』の1冊のみ。当時、まだ学生であり、1冊1500円の本が買えなかった。

筒井康隆の小説を最初に読んだのは文春文庫『48億の妄想』で13歳の時。その後、単発的に文庫本で読み散らかした。就職してパソコン通信を始めた頃、機会あって「瞠目反・文学賞」の公開審査に筒井康隆の招待という形で参加した。本人から「入場券は受付で申し出て下さい。判るようにしておきます」というメールが届き、ヲレもどきどきしながら「筒井先生からの招待で来ました」なんて受付で言ったものだ。ヲレの席の横にはギタリスト渡部香津美氏、前には作家の小林恭二氏、佐藤亜紀氏などが座っていた。

その後(前かもしれない)1992年、新宿ピットイン「『朝のガスパール』出版記念・『電脳筒井線』完結記念 朝までセッション」にも参加。ピアニスト山下洋輔氏、渡部香津美氏(上写真)、堀晃氏、『サラダ記念日』の俵万智氏も参加していて、華やかな夜だった。その宴は朝4時頃まで続いた。

当時全盛の『FOCUS』の取材もあったりして、ヲレは腕だけ掲載された(上写真)。筒井康隆58歳の誕生日のこと。

その後、断筆宣言などがあり、あまり筒井本を手に取ることは無くなってしまったが、未だに作家として、知識人としてヲレの記憶からは決して消えて無くなることはない存在となっている。今回の『筒井康隆全集』との奇跡的な出会いには、心底感動したところ。