厚生労働省崩壊

副題は「天然痘テロに日本が襲われる日」なんだけど、あまり天然痘云々というよりも、厚生労働省の感染症対策全般的な問題について提起しているもの。

厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日

厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日

著者は、厚生官僚で検疫官。国会で新型インフルエンザ対策として実施された空港での水際作戦をパフォーマンスと批判した人。でっかい襟が特徴。

当時、この本を買ったのだけれど、なんとなく読む機会を逃して今に至ったわけだが、丁度、春のインフルエンザってなんだったんだっていうくらいの規模で爆発的に流行しているので、素直に著者の主張が身にしみて理解できる。うん、やっぱり春のあれ、パフォーマンスだったんだとね。

けれども、そういう指摘や問題提起はその通りなのだけれど、でも基本的には自分の職場である厚生労働省に対する愚痴なんだよね。どこでも見かける不満。正当に評価してくれないとか、そいういうの。普通、仲間内で愚痴るのだけれど、この人、本にしてしまったというところが勇気ある。その代わり、あちこちに飛ばされまくっているのだけれど。

いずれにしろ、現実に起こっているインフルエンザ対策なんてまったく機能していなくて、予防接種さえも満足に出来ていない。なんとなく国民は、ブームが過ぎ去るのを待っているだけって感じ。ヲレの友人なんか、インフルエンザに罹らないことは避けられないので、早く罹って免疫を作ってしまった方がなんの心配もなく予定が立てられるといって、罹患した子供の頬をスリスリしたりしている。国の対策なんて、まったく期待していない。

これが弱毒性のインフルエンザだからいいのだけれど、じゃ、天然痘だったらどうするのって問題で、そうなったら諦めるしかないのがこの本を読んでの感想。著者は、twitterで「事業仕分けが必要なのは、厚生労働省の組織」って言っているらしいけど、そのとおりかもしれない。