THIS IS IT

文化の日なので、芸術に触れようと2週間限定上映(一部の劇場では2週間延長)の『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を観る。残念ながら午前1番の上映のためか1/3程度の入りで寂しい。

マイケル・ジャクソンは、概ね同世代であるので、リアルタイムで聴いてきたけれどもCD一枚持っているわけでもない。奇行ばかり取り上げられたりして、急逝のニュースを見たときも、「あーあ、死んじゃった」と思った程度。そんな思い入れの無い状態で見たこの映画。完全に裏切られた。かっこ良すぎる。存在の大きさ・偉大さというものが充分に表現された映像、編集に脱帽だ。

あまり多くないマイケル・ジャクソンの言葉がいいではないか。ミュージシャンとのやり取りの中で、

  • ゆっくりで。ベッドから起き上がるときのような感じ。
  • もっと余韻がほしい。月光を浴びているような。

みたいな表現をしたりする。それでもって、

  • (聞こえにくいイヤー・モニターについて)聞こえにくい。いや、怒っているじゃない、これは愛だよ。

なんて言う。優しいのだよね。鳩山の友愛よりよっぽど心に響く。

世界中から集まったダンサーのオーディションのシーンもかっこいい。1万人くらい応募があるので、100人くらいを一斉に踊らせるんだよね。それを次から次へと見ていき、10人程度を選ぶ。

ギタリストは2人いて、黒人と女性。どちらも一流のミュージシャンなんだろうけど、この金髪女性の方が、またかっこいい。ガムをかみながら"BEAT IT"をなんかをさらりと弾いたりする。オーディションでは、エドワード・ヴァンヘイレンのギターソロ弾いたらしいけど、世の中にはこんな才能のある人たちがごろごろしているんだろうなと感動する。オリアンティ・パナガリス(24歳)という人らしい。

記録映画としては奇蹟に近い映像と編集の完成度。あっという間の2時間。マイケルは優しくて、繊細であるということが判ったことは、大きな収穫だ。