大雪山系遭難、千枚小屋の焼失に思う

あちこちで語られているので、あらためて素人が言うこと無いのだが、でも、ちょっとだけ。

映像で見る大雪山系、美しい山容だね。こんな悲劇が起こったとことなどみじんも感じられない。もう20年ほど前のS.O.S遭難も大雪山だった。録音されたあの声は忘れられない。

実は、若い頃、少し山歩きをしたことがある。この写真は、南アルプスの北岳(3193メートル)から間の岳、農鳥岳(白鳳三山)を望んだところ。15年くらい前。単独行で、コニカのHEXERというフィルムカメラで撮影した。前日は、大荒れの天気で、尾根筋に出たとき、たった一人で雷が下の方で光る雲の中を這って歩いた。山小屋が見えたときはほんと助かったと思った。もちろん闇雲に行動したのではなくあと1時間歩けば山小屋があると承知していたのだが。

今回の事故は、こういう緊急避難的な山小屋のない山系を縦走するという中で起きた。だったらそれなりの装備と覚悟が必要だったと思う。

これは南アルプスの悪沢岳(東岳、3141メートル)。それともその手前のピークだったかな。今ひとつ、記憶が曖昧。アプローチが悪い南アルプスだが、ここも例外ではない。通常、手前の千枚小屋から千枚岳(2879メートル)のルートになる。(逆もあるが)。日記を確認したら、1993年10月17日の事。

お世話になった千枚小屋(当時の写真)。たしか県営で東海フォレストが管理をしていた。

朝、千枚小屋を出て千枚岳に向かう途中、振り返ると雲海が・・・。美しい景色だった。

この千枚小屋は、最近、焼失して、今はない。

で、実は、千枚小屋の焼失は以前にもあって、この写真の新聞記事は、最初の時のもの。1993年10月25日、ヲレが千枚小屋にお世話になった約1週間後。管理人は冬支度(閉鎖の準備)をしていた。

何を言いたいのかというと、、手前の椹島ロッジから千枚小屋まで約6時間、千枚小屋から悪沢避難小屋まで約3時間という位置からこの千枚小屋の位置って重要なんだよね。千枚小屋がないと、今回の大雪山系で起こった事故のように避難小屋がないルート(前後9時間程度)になってしまうということ。

3千メートル級の山であるので、条件が重なれば夏でも凍死する。風速1メートルは、体感温度を1度下げる。標高100メートル高くなれば、マイナス0.5度下がる。夏とは言え、2千メートル以上の山など、安易に出かけるところではない。

ましては、山岳ツアーだ。ガイド2人は初ルートだという。団体となると個人の意志や意見が無視されがちだ。そんな中に放り込まれたら最悪だ。ヲレは、ほとんどが単独行だった。山まで行って集団で行動したくないという理由ばかりだけではなく、自分の体力に自信がないから、自分のペースや判断を優先したかったからだ。自分一人だったら、戻ることができる、止めることができる、休憩したいときに休むことができるのだ。

集団だったら、少なくとも気心が知れた仲間と行くべきだろう。そういうところが、高齢者の登山ブームの安易なところで、年寄りやおばさんの井戸端的登山は迷惑なのだということを今回の件で知ってもらいたい。

決して、単独行をすすめるというわけではない。これはこれで危険だ。でも、少なくともリスクを分散するということでは意味がある。道連れは避けられる。ヲレ、山歩きをしていたとき、仕事が終わった後1時間くらい20キロの砂袋を入れたザックを背負って毎日周辺の里山を歩いた。もちろん一人でだ。山に登るのであれば、そのくらいの覚悟と準備が必要なのでは。