持たない暮らし

風呂で読んでいて湯船に落とした本だ。惜しみはない。

「持たない暮らし」というタイトルが気に入ってハイウェイバスに乗る前に東京駅で購入したもの。

著者の基本的な姿勢には激しく同意するが、「都会の暮らしの煩雑さを避けるため夏の間は軽井沢の山荘で暮らす」で興ざめだ。なんだ単なる金持ちの美徳もどきじゃないか。

その内に、「マンションを選ぶときはできるだけシンプルなものを選ぶ」なんてのが出てくる。「最初の家を建てたとき・・・」とかも。ふつー、マンションを何度も選ばないし、家を何度も建て替えないって。しかも、別荘まで持ってだよ。

主張していることは正しいのに、この人の言葉が寒々しく感じる。「シンプルに暮らそうよ、本当にいいものを使おう」と言われれば言われるほど、苛つく。それは、余裕ある生活から生まれる優越感を行間から感じるからだ。

それに比べ、レーシック手術を受けるに、ちょいと背中を押してもらったid:lionfanさんのブログ「らいおんの隠れ家」の記事↓は秀逸だ。

「一週間前、自分はちょっとした偉業を達成しました。家の中の物をすべて覚えたのです。」で始まる優越感は、『持たない暮らし』の著者とは違う謙虚さがある。こちらは、見習いたい。せめて自分の部屋だけは。