告白

著者の湊かなえ氏は、新人で本作がデビュー作となる。新人作家は、文章技術が未熟ながらも時々とんでもない傑作を生み出すのだが、この小説も驚くべき内容で素晴らしい。著者が2作目、3作目もこのレベルを維持できるかはわからないが、まあ無理だろうというくらい良くできている。

告白

告白

全体は6章に分かれているが、第1章を読み終わったとき、ものすごい短編だなと感心したほど良くできていた。ところが第2章、第3章と読み進むうちに、第1章を超える驚きと、様々な伏線により紐解かれる快感に、ほんとレトリックの魅力に酔ってしまったよ。

正直言って、読後感は良くない。凄いという驚きはしばらく継続するが、リアルな面を考えてしまうと気が重くなる。学校を舞台にして、先生と生徒、クラス、保護者・・・様々な人間関係と心理の裏表が交錯する。

『告白』という書名から判るように、語り口調による物語の進行が絶妙。久々の「借金をしても読め!」本だ。