追伸

期待の真保裕一の書簡小説。手紙のやりとりだけで構成されているもので、過去にもたくさんの傑作が生まれている。

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書簡小説では、ヲレの記憶の中で一番は、宮本輝著『錦繍』で、どういうわけか単行本を二冊持っている。完璧な小説で、宮本輝の中でも最高傑作だと思っている。もう一つは、古いところで武者小路実篤著『友情』の下編か。手紙のやり取りで物語は進む。こちらも青春時代、大きな感動を得た。小説の凄さを知った一つの作品である。

さて、真保裕一の『追伸』であるが、著者は宮本輝の『錦繍』を読んだのだろうなとまず感じた。しかしながら、内容は「なんじゃこりゃ〜」で、外れがない真保佑一の作品の中では失敗作ではないかとヲレ的には感じる。

まず、展開に無理がある。結末から追っていったため、時系列で進むストーリの導入部分に無理が来ているのだ。長々と祖父や祖母の話を始めた理由がない。後半も、屁理屈で無理矢理の感がある。設定が強引すぎる。

最悪なのは、読んでいても読み終わっても感動が何もないこと。なんじゃこりゃ〜という感想のみ。策に溺れた典型的な失敗作。